●自分自身に優しくする

 まずは最優先すべきことを整理しよう。仕事に戻った「最初の2~3週間は、自分の感情の高ぶりを気にしないようにすること」だと、ダウリングは言う。

 あなたの生活は劇的に変化してしまった。「あなたは疲れていて、苛立ち、すっかり自信喪失していることでしょう」。もしかしたら、職場に復帰するか自宅に留まるかで、葛藤すら覚えているかもしれない。

 実際、育児休業明けに退職を考える人は少なくない。だが、いま悲しかったり心配だったりするからといって、永遠にそのままだというわけではない、と彼女は言う。「感情が高ぶる時期なのです」

 結論を出すには早すぎると、自分に言い聞かせることだ。自分の感情を無視してはならないが、新しくできた子どもの年齢やステージと同じように、この時間も過ぎ去るものだと、心に留めてほしい。「自分に厳しくし過ぎないことです」と、ルソーも同意している。

 ●自分のスケジュールを検討する

 職場に復帰する変化は「けっして容易ではない」が、「自分で管理・計画できる側面がたくさん」あると、ダウリングは言う。たとえば、週に2~3日働いて徐々に復帰するのか、あるいは最初からフルタイム勤務で仕事を再開するのか。誰もが選択肢を持つわけではないが、もし選べるのなら、それぞれの良い点と悪い点を検討するのが賢明だ。

 最初はパートタイム勤務で徐々に復帰する

「(この方法ならば)以前とは違う仕事のやり方を覚えることができます」と、ルソーは言う。パートタイム勤務は、自宅での新たな生活を切り盛りするプレッシャーをある程度小さくするとともに、仕事に専念させてくれる。「大事な物事を優先して、それに集中する術が学べます」。

 パートタイムで働いていると、「時間を無駄にできません」と、彼女は言う。引き受ける業務やそのやり方を「選別する必要があります」。

 ただし、パートタイム勤務は自分のチームに「複雑なメッセージを送る」可能性があることも認識すべきだと、ダウリングは言う。「以前はバリバリの働き手だったとしても、週2日で復帰したとしたら、自分でそのつもりはなくても、もう以前と同じようには働かないというメッセージを伝えていることになります」と、彼女は言う。「あなたの関心と望みは変化してしまったのです」

 フルタイム勤務にただちに復帰する

「(この方法ならば)昇進の見込みがすっかり低くなった」キャリアではなく、「従来のキャリアを再開」できるとダウリングは言う。最初は困難かもしれないが、出だしで「以前とは違う基準を設定」していないというメリットがある。

 フルタイム勤務で復帰すると、「職場に飛び込んである程度データを集め、試してみる」ことができる。必要とあらば、その後に「徐々に調整する」こともできる。

 どちらの道を選択するにせよ、ダウリングが勧めるのは、仕事に復帰した最初の週は2~3日のみの勤務に留めるということだ。週の半ばからスタートすれば、調整を多少ゆっくりと行うことができ、また最初から5日連続勤務(間違いなく長く感じるはずだ)しなくてもよいことになる。

 ●2~3回予行演習する

 育休からの復帰には往々にして、新しい複雑なロジスティクスの実行をともなう。ダウリングは次のように助言する。「苦痛の種をなるべく小さくする」ために、できる限り「先手を打っておきましょう」

 まずは基礎的なことから始めることだ。仕事に戻る初日に、自分の子どもを保育所に初めて預けたり、新たなベビーシッターと家で初めて過ごさせたりすべきではない。ダウリングは、少なくとも2~3回預けたり、ベビーシッターに1週間前から来てもらって練習したりすることを勧めている。「子どもに、そのプロセスと面倒を見てくれる人に慣れてもらうのです」と、彼女は言う。

 リハーサルも役に立つだろう。「朝起きて、シャワーを浴び、通勤用の服を着て、子どもに食事を与え、保育所に連れて行き、コーヒーを買い、職場に向かいます」と、彼女は言う。「職場に着いたら、文字通り、来た方向へと引き返します」

 母乳育児をしている場合には、その中に授乳の時間も1~2回設けるとよい。ここで目指すのは、ルソーが言うように、想定されることの「現実的な下見」を体験することだ。

 ●上司に率直に伝える

 職場復帰初日に、とは言わないが、早い時点で、仕事に必ず関わってくる自分の人生の新しい現実について、上司と正直で「ざっくばらんな会話」を持つ必要があると、ダウリングは言う。「復帰して最初の数週間は、いろいろと浮き沈みが多いかもしれない(あなたの感情はあちこちに揺れ動くかもしれない)」が、「それでも自分の仕事と組織に十分にコミットしている」ことをはっきり伝えよう。

 雇用主からどのようなサポートを必要としているのか、新たな状況であなたにとって最適な働き方を考えることだ。ダウリングはまた、「担当させてほしいプロジェクトは何か」「行くべきだと思う出張がどれで、行きたくない出張はどれか」を上司に提案するよう勧める。「自分のストーリーを自ら把握しておく必要があります。コントロールできる事柄は、多ければ多いほどいいのです」

 ルソーは、いかにうまく職場復帰するか、上司の助言と意見を仰ぐよう勧めている。職場復帰した最初の数週間、あるいは数ヵ月間で何を達成できそうか、率直かつ現実的に伝えたい。「上司には、絶対に不可欠なものが何で、あると助かるものは何かを伝えましょう」

 ●同僚が何を期待したらよいかを伝える

 自分の新たな仕事生活に落ち着くにあたり、同僚との関係をうまく築くよう十分に配慮したい。「『やっていくうちに何とかなる』とか『そのうち慣れる』といった心構え」で育休から復帰する人は多いが、これはリスクをともなうと、ダウリングは言う。「自分のスケジュールと計画がどのようなものか、明確な考えを持たずに復帰すると、周囲は憶測してしまいます」

 コミュニケーションはきわめて重要だ。自分がいつ、どのように働くかを率直に伝えよう。自分のスケジュールを予測可能にすることだ。たとえば、「毎日午後5時きっかりに退社する必要があると皆が知っていれば、午後4時59分に会話を求めて、あなたのオフィスに立ち寄らないようになる」と、彼女は言う。

 もちろん、時間が経つにつれて変化することもあるだろうし、瞬時の対応を迫られることもあるだろう。だが、「あなたに何を期待すべきかを同僚に伝え」、自分のスケジュールと要件を明確に説明すれば、同僚は必要に応じて、いつ、どのように対応すべきかを学んでくれるだろう。

 ●支援を求める

 職場復帰は、1つの過程だ。独力で取り組んではならない。復帰直後には励ましと支援を求めるよう、ダウリングは助言している。

「ママ友・パパ友のネットワークに加わりましょう」と、彼女は言う。オンライン上でサポートコミュニティを探すのもいい。「近所で同じように幼い子どもを抱えた人とつながりをつくりましょう」

 雇用主にも、新米の親をサポートするリソースがあるか、尋ねてみよう。同様のプロセスを経てきた同僚から助言を求めるとよい。

 ●子どもと過ごす時間を計画的に決める

 職場復帰してリズムを取り戻したら、「どのようにして子どもと時間を過ごすか」を考えるよう、ダウリングは勧める。子どもとは朝を一緒に過ごすのか、夜が中心なのか、もっぱら週末だけなのか。特に「勤務時間や通勤時間が長い場合には、子どもと過ごせる時間」をいつ取るか、計画を立てる必要がある。

 その際、子どもの世話をする人にも配慮しよう。子どもを保育所に預けていようと、ベビーシッターや家族と家で過ごしていようと、こうした人たちは、いまやあなたが仕事を続けるためのパズルに不可欠なピースだ。

「あなたが働いているあいだの子どもの様子を写真で送ってもらいたいのか、あるいはビデオ通話をしたいのかを伝えましょう」。要するに、「子どもを大切に思う気持ちを二の次にしないことです」と、ダウリングは言う。「計画的にやることです」

 ●自分に対する期待をリセットする

 職場復帰して間もない頃に、職場での自分をどうつくり変えるか、考えておきたい。「あなたの特別な才能や異彩を放つ存在とするものは何か」について考えるよう、ダウリングは助言している。

 次に、そのような特性をどう活かせば、自分の新しい生活に見合うかを検討しよう。「これまであなたが職場で一番よく働く人だったなら、今後は最も効率的な働き手になれるかもしれない。これまで最良のメンターやプロジェクトリーダーだったなら、仕事を任せるのが一番上手な人になるとよいでしょう」と、彼女は言う。

 ここで目指すのは、自分自身に対する期待をリセットすることだ。「そうしなければ、自分ではもはや担えない役割を背負い込むことになるでしょう」。ルソーも同意する。「あなたが貢献できること、貢献すべきことが何かを現実的に考える必要があります」

 ●覚えておくべき原則

【やるべきこと】
・仕事に戻った最初の数週間は、自分の感情の高ぶりを気にしないようにする。育休明けの職場復帰は、1つの過程である。
・自分のスケジュールをできる限り予測可能にして、自分の計画を同僚に伝える。だが、その途中で調整が必要になるかもしれないと認識する。
・職場で同様に働く親からの支援と励ましを求める。

【やってはいけないこと】
・職場復帰する初日に、子どもを新しい世話係に初めて預けてはいけない。予行演習を行って、自分と子どもを状況に慣らそう。
・融通を効かせてもらうことで仕事をうまくこなせるのなら、それを明確に求めないのはよくない。あなたには何が必要なのか、率直に伝えよう。
・子どもが生まれる前と同じように働けると思ってはいけない。代わりに、自分の最高の特性をどうすれば新しい生活に活かせるかを考えよう。