●自分に正直になる

 この状況に対処するための最初のステップは、自分を正直に見つめることだ。

 今日のようなことは、今回に限ったことなのか、それとも同じようなことが何度かあったのか。カッとなったことがまるで自分らしくない、珍しいことならば、あなたと一定期間付き合いのある人は、今回のことを状況的要因によって引き起こされたことだと判断する可能性が高い。

 その場合には、誠実に謝るだけで十分かもしれない。しかし、もし今回のようなことがよくあることならば、評判を回復するまでの道のりはもっと険しいものになる。

 ●謝罪する

 次にやるべきことは、謝罪だ。問題の出来事のあとに素早く行い、周囲がやきもきし、社内で噂が広まる時間をできるだけつくらないのが理想だ。謝り方だが、ロイ・レウィッキ(Roy Lewicki)、ベス・ポリン(Beth Polin)、ロビン・ラウント(Robert Lount)が実施した調査によると、効果的な謝罪は6つの要素によって構成される。

1. 申し訳ない気持ちを表明する
2. 何が悪かったのかを説明する
3. 責任を認める
4. 悔い改めることを宣言する
5. 修復を申し出る
6. 許しを求める

 これらの要素が多く揃うほど、謝罪は好意的に受け取られる。

 だが、どの要素も同じだけ重要なのではなく、調査によると、謝罪に最も欠かせないのは、責任を認めることである。したがって、逆上したことを謝るときには、悪いのは自分であると認めることだ。弁明したり、屁理屈を言ったりして、正当化してはいけない。自分の行いが間違っていたことを素直に認める。

 同じ調査によると、謝罪で2番目に重要な要素は、修復の申し出である。したがって、どのような償いをするつもりかを説明する。たとえば、人前で誰かに怒りを爆発させた場合、相手にしっかりと謝罪した後で、爆発したときに居合わせたメンバーが揃う次の会議でも謝罪する。もしくは、今後同じ問題を起こさないために、どのようなステップを踏もうとしているのかを説明してもよい。

 たとえば、予定が立て込んでいるときに怒りっぽくなる傾向がある人は、仕事の負荷をもっと上手にコントロールしたり、もっと休憩を取るように心がけることを約束したりするといいだろう。自己防衛に走りやすい人は、自分が人の意見を聞かなくなったら遠慮なく指摘してほしい、と頼んでおく。あるいは、カッとなるのをどうにも抑えられないという人は、コーチングを受けてリアクションをコントロールする方法を身につける、と約束する。

 宣言した後は、必ず実行すること。結局同じことを繰り返していたら、せっかくの謝罪が水の泡と化してしまうからだ。

 ●何が爆発の引き金になったのかを見極める

 この先またカッとなる確率を減らすために、何が要因だったのかをわかっておきたい。ストレスをもっとコントロールできるようになるべきなのか、攻撃されたと感じると相手に突っかかる傾向があるのか、決まってイライラさせられる相手がいるのか、今回はプライベートの問題で仕事でもいつもよりピリピリしてしまったのか、など。

 原因を突き止められれば手が打てる。次からは建設的な対応ができるはずだ。

 人から攻撃されたと感じたときに動揺しやすいという人は、たとえば見方を変えて、多様な意見があるほうがチームとしての問題解決能力が高まる、と考えるようにする。睡眠不足だとイライラしやすいという人は、睡眠習慣を変える(または、最低でもよく眠れなかった日は自分の言動に意識的に注意を向ける)。切羽詰まると感情的になりがちだという人は、混乱しているなと思ったときに深呼吸をする習慣を身につけ、体を落ち着かせて冴えた思考を取り戻せるようにする。

 ●首尾一貫した姿勢を取る

 周囲のあなたに対する印象を変えたいと思うなら、一貫して穏やかで落ち着いた態度を見せることが必要だ。これは非常に重要なポイントである。なぜなら、人には確証バイアスが働き、自分が相手に抱いているイメージを裏付ける相手の行動には気づきやすく、イメージと違う行動には気づきにくい傾向があるからだ。

 どういうことかというと、あなたが短気な人だと思われていたとすると、周囲はあなたがたった1回、同僚に向かって声を荒げたことは気に留め、反対に、あなたが同じ週のその他のすべての会議で人当たり良くふるまったとしても、それは気にも留めないということだ。不公平なように思えるかもしれないが、周囲から見たあなたの印象を変えるには、この方法しかない。

 ●人間関係づくりに力を注ぐ

 周りの人としっかりとした関係を築いていけば、たまの失敗を大目に見てもらえる可能性が高まる。

 企業で働く個人に対してコンサルティングを行っていると、信頼関係のある同僚が珍しくキレた場合、自分と関係を築く時間をつくらなかった同僚と比べて、許そうと思う気持ちがはるかに強いという人が少なからずいる。それはそうだろう。絆が深いということは、それだけ多様なデータポイントを蓄積してきたはずで、相手に対してバランスの取れた見方ができるはずだからだ。

 したがってイメージを回復するには、時間をかけて周囲と本当の信頼関係を築くことが不可欠だ。ソクラテスが書いているように、「良い評判を得るには、自分自身が望む姿になるよう努力することだ」。そのため、一度カッとなってしまったあとに目指すのは、周囲から見たあなたの「印象」を変えることだけでなく、あなたが得ようとしている評判が真実のあなたを映すものであるように、あなたの「気性」を変えることなのだ。

 ●焦らない

 最後に、あなたはすぐに気持ちを切り替えたかもしれないが、周囲はそれができていない可能性がある。したがって、たとえあなたがこの何週間かを最高に行儀よく過ごしてきたとしても、その改心した姿が本物だと周りが認めるまでには、もう少し時間がかかるかもしれないことを覚えておこう。

 私のかつてのクライアントに、仕事で感情をコントロールすることが苦手な人がいた。怒りっぽく、失礼な態度を取るというフィードバックにショックを受け、それを乗り越えると、彼女はその印象を塗りかえることを自分に課した。アクティブリスニング(積極的傾聴)の手法を使って人との関係構築に努め、マインドフルネスの訓練を始めて、全般的なストレスのコントロールに取り組んだ。すると、大きな前進が見られ、その成長によって自分に誇りを持てるようにもなった。

 ところが1ヵ月後、彼女は苛立った様子でコーチングセッションに現れた。周囲から向けられる目が変わった実感がないという。職場で真摯に自己鍛錬に励んできた彼女は、そのことでかなり落ち込んだ。しかし、それでも諦めずに続けて、数ヵ月後、仕事に対するいまの姿勢が周囲から評価されているというフィードバックを受けた。

 前述の通り、態度を改めたら一貫してそれを維持する必要があるが、それと同じくらい辛抱強さも必要だ。もし周りが、あなたに対していまの1通りの印象しか持っていなかったら、「あなたが態度を改めたことに気づき」「それがずっと続くと信じる」までには、いくらか時間がかかる。

 したがって、周りがなかなか気づいてくれないと思っても、焦らないことだ。続けていけば、そのうち気づいてくれる。現実問題として、職場で爆発した後に汚名返上するのはなかなか難しい。自分の印象を変えるのはたやすいことではないが、腐らずぶれずに続ければ、必ず実現できる。


HBR.org原文:You Just Lost Your Temper at Work. Now What? July 26, 2019.

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パトリシア・トンプソン(Patricia Thompson)
博士。企業の心理学およびマネジメントに関するコンサルティング会社、シルバーライニング・サイコロジー社長。豊富な経験に基づき、採用、育成、エンゲージメントに関するアドバイスを提供する。詳細はウェブサイトwww.silverliningpsychology.comおよびwww.executivemindfulness.orgを参照