●サインに気をつける

 職場の友人のために仕事がおろそかになっているとしたら、それは何がしかの手を打つ必要があるというサインだ。他にも、情緒不安定になっていると感じたり、自分に起こっていることよりも友達に起こっていることのほうが気になって仕方がなくなったり、というのも危険信号だとマッキーは言う。

 その関係性が健全かどうかは、こう自問することで確認できる。「いまの関係は、自分が望んだ仕事での成長につながっているだろうか」「2人の努力の度合いは同じだろうか」「友人と違う考えや思いがあっても、それを気兼ねなく伝えられているだろうか」「友達の悩みを多面的に捉えられているだろうか、それとも同じ視点でしか見ていないだろうか」

 デイビッドによると、「残念ながら、ここまでならオーケーで、これを越えたらだめ、という明確なラインはありません」。ただ、答えが1つでもノーならば、状況を変えることを考えよう。

 ●相手を責めない

 その友情が自分のためになっていないと思う人にとって、怒りや苛立ちはごく普通の感情だ。「『自分がこうなったのはあなたのせいだ』と相手を責めたくなるのが人情ですが、そう思ったら負けです」とデイビッドは言う。そうではなく、その不健全な関係を築いた自分の関わり方にも目を向ける。

 もともとなぜその友人に惹かれたのか、振り返ってみることをマッキーは勧めている。その人の人柄、仕事でともに苦労したから、共通の趣味――。それを思い出すことが、いまの関係を解きほぐし、今後、同じような状況に陥ることを防ぐヒントになる。

 ●関係を断ち切らない

 ほとんどの場合、いきなり付き合いをやめる必要はない。「どうしたらいいかわからないからといって、親友だった人を、ランチも一緒にしない相手にしてしまう」のは勧められないとデイビッドは言う。

 マッキーも「大切なつながりを切ることになるかもしれません」と同意見だ。「不健全な流れを変えるには、断ち切るしかないと考える人が多いですが、その必要はありません。ちょっとの変化で、自分も人も傷つけずに良好な関係に向かわせることができます」

 ●話の仕方を変える

 一緒に過ごす時間を減らしたい、と友人に告げるのは辛いものだ。「それくらいストレートに物事が言える健全な関係性の人もたまにいますが、稀です」とマッキーは言う。「お互いが自分のことをよくわかっていて、自制的な話し合いができる2人なら、思い切って言い出してみるといいでしょう」

 だが、ほとんどの場合は、話し方を「徐々に変える」のが正解だ。たとえば、「より"さっぱりした"コミュニケーション手段を選ぶようにします」とマッキーは言う。「よく会って話していた相手なら、会う代わりに電話で話すようにして、もしビデオ通話や電話で連絡を取っていたなら、メールに切り替えます」。

 物理的な距離を置き、付き合いの「密度を薄めるのがいいでしょう」とデイビッドは言う。事あるごとに「仕事での関係を強調」し、仕事の重要さについて話すとよいという。

 ●付き合いの範囲を狭める

 どこにラインを引きたいか考える。「友人から相談された悩みの中で、今後も助けてあげたいと思うものを1つか2つ選び」、他の問題については「相手が対策を講じられるように手を打ちます」とマッキーは言う。

「助けてくれる人を見つけてあげましょう」とデイビッドは言い、「この話、堂々巡りしている気がする。コーチングを受けてみたら」という趣旨のことを告げるように勧めている。

 ●意志を強く持つ

 新しいバランスを見つけるまでは、時間がかかる。友達はあなたの思い通りにはいかないかもしれない。でも、押されたからといって引き下がってはいけない。

 なぜ一緒にランチに行けないのかと詰め寄られたら、次のような言い方で返すとよいとマッキーは言う。「自分も話がしたいけど、前に言った通り、仕事が大変なときなんだ。いまは集中しないと」。あるいは、こう言って、あなたの話したい話題を切り出す。「今度会って〇〇について話さない?」

 友人はなかなか受け入れないかもしれないが、境界線が引けるまでのしばらくの間、不快な思いをしても、これからずっとエネルギーを消耗することを考えれば、大した犠牲ではないと自分に言い聞かそう。

 ●基本的な心得

 やるべきこと

・仕事の生産性やパフォーマンスが落ちていたら、友情に時間や労力をかけすぎているサイン。見逃さないように注意する。
・付き合い方を見直し、コミュニケーションに費やす時間を減らす。
・相手が抱えている悩みの助けになる人を紹介したいと申し出る。

 やってはいけないこと

・相手を責める。いまの不健全な状態をつくった一因は自分自身にもある可能性を考える。
・絶交する。実行できない場合が多く、気持ちのいいものでもない。
・元の関係に引き戻そうとされて折れる。自分で決めた境界線を堅持することが大事。