ネットフリックスはどうすれば、プラットフォームになれるのか。単にサードパーティがネットフリックスのサービスの中で、ただしネットフリックスのサブスクリプション外で、サードパーティ自身が統制する条件によって、商品やサービスを販売できるようにすればよいだけだ。

 そのようにしてマルチサイド・プラットフォームになれば、ネットフリックスには別の面での成長の道も開ける。同じ会員に、より多くのものを販売できるのだ。

 このプラットフォーム・モデルの長所は、ネットフリックス自身が新しい商品の購入や制作を行わなくても成長できる点にある。

 コンテンツの開発と販売を行うサードパーティを引きつけ、(よくあるように)収益や取引手数料の一部を回収するだけでよい。サードパーティは新しいタイプのコンテンツを試せるし、それはネットフリックスのコンテンツの獲得と制作において価値あるものになるかもしれない。

 そうすれば、ネットフリックスはアマゾンの後に続くことができるだろう。アマゾンは、商品をセラー(販売業者)から購入して自社の名前で販売する純粋な小売業としてスタートしたが、やがて、消費者がサードパーティのセラーから直接、購入できるマーケットプレイスを追加した。

 ネットフリックスも同じように、ハイブリッド型の強力なリセラー(再販業者)プラットフォームになれるだろう。ただし、(大半は)物品ではなくデジタルコンテンツを売るプラットフォームとして、である。

 ネットフリックスはなぜ、いまだにこの路線に踏み出していないのだろうか。CEOのリード・ヘイスティングスとそのチームは、すでに検討したはずだ。私が考えつくもっともな説明は2つだけである。(1)リソースの配分と、(2)品質の統制である。だが、どちらもあまり説得力がない。

 リソース配分について言えば、高品質のコンテンツの開発や獲得に必要な財的・人的資源を考えると、いまはプラットフォーム化のチャンスに対処できるような処理能力を持てないということなのかもしれない。私としては、必要な処理能力をつくり出すべきだと主張したい。莫大な見返りの可能性があるし、コンテンツの獲得と制作をめぐる苛烈な競争では、行き詰まる危険があるのだから。コンテンツのプラットフォームであれば、ただコンテンツの制作者やリセラーでいるよりも拡張の可能性があり、価値が高く、危険から身を守りやすい。

 品質の統制で議論になるとしたら、こういうことだろう。プラットフォーム化すると、ネットフリックスが全面的には決められない条件で、完全には統制できない品質のコンテンツを、サードパーティが販売することになる。そうなると、品質の悪いコンテンツが見落とされ、消費者がそれをネットフリックスのせいにして遠ざかっていくリスクがある……。

 これはもっともな懸念だ。だが、このリスクを減らす方法はいくつもあり、アマゾン、イントゥイット、セールスフォースをはじめ、プラットフォーム化した他の企業はすでに実施している。

 私は、ネットフリックスが、ユーチューブのように誰でも彼でも動画を投稿できるオープンなプラットフォーム・モデルに移行すべきだと主張しているのではない。むしろネットフリックスは、比較的厳格なガバナンスのルールを設定し、徐々にそれを緩めることで、精選されたプラットフォームのサービスに姿を変えていけるだろう。

 私が一番言いたいのは、これだ。ネットフリックスが、一律の会費によるコンテンツアグリゲーターから、多様なコンテンツプロバイダーがそれぞれの設定する価格で直接ユーザーに販売するハイブリッド型のアグリゲーター・プラットフォームに生まれ変わったとして、失うものはほとんどないどころか、かえって得るものが大きい。

 プラットフォーム化は、つまるところ、不安(ライバルとの競争)か欲(成長と収益の新たな源)の問題だ。ネットフリックスは、その両方を考えるべきである。


HBR.org原文:The Best Way for Netflix to Keep Growing, August 14, 2018.

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アンドレイ・ハジウ(Andrei Hagiu)
ボストン大学クエストロム・スクール・オブ・ビジネス准教授。情報システムを教える。ツイッターは@theplatformguy