チームのバランスが取れていない

 私が見てきたなかでも、業界知識が豊富で、やる気はあるが、イノベーションのやり方がわからないリーダーが原因で駄目になったラボがある。それも1つではなかった。こうしたリーダーは、コアビジネスにおける問題解決と同じようなアプローチでイノベーションに取り組もうとするため、結果として、漸進的な改善の域を出ないことが多いのだ。

 外部の起業家を集めただけのラボも苦戦していた。従来のやり方を一掃したいというメンバーの野心によって、社内のブリッジがあっという間に壊されてしまう。これは、アントレプレナー・イン・レジデンス(客員起業家制度)で起こりがちな愚行だ。メンバーはスタートアップの立ち上げ方、事業の起こし方は知っているが、大きな組織の中で立ち回るために必要な内部知識やネットワークは持ち合わせていないのだ。

 成果を得るには多様なメンバーが必要だ。組織の外の人間も少しは必要だが、多様なスキルを持ち、イノベーションに前向きで、社内のシステムをよく知るベテラン社員などで周囲を固めるべきである。

 このバランスを築くのは簡単ではないが、それ以外に方法はない。ラボの内外を問わず、結果を出すイノベーションチームは、目的に導かれ、職種やバックグラウンド、そして認知スタイルなどが多様な人材で構成されている。

 簡単なチェックをするならば、すべてがスムーズに進んでいるように見えて、チームからのアウトプットが普通の域を出ていなければ、チーム構成が悪い。よいアイデアが出て、多様な意見がぶつかり合うことで生まれる健全な緊張感があり、かつイノベーションに付き物の曖昧さを効果的にマネージできていれば、よいチームだといって、ほぼまちがいない。