成果を測定する基準がない

 カフェインだけではイノベーションは実現できない。しばらくしてラボがお金にならないことがわかると、上層部の見る目は変わる。

 何が皮肉かといえば、そもそも最初から、成否の判断基準がないことだ。事実、成果の測定基準がない、または管理できないイノベーションラボは、本質的に失敗するようにできている。

 ラボには、アイデアを重ね、進化させ、孵化させるための余裕が必要なため、資金に対する考え方はこれまでと変えざるをえない。それでも、もしそのラボが長期的に実験を行う義務のあるコストセンターならば、お金に関わらず何らかの費用対効果を事前に指定して、定期的に確認していくことが必要だ。

 測定基準の設定には、少なくとも2つの目的がある。1つは、ラボのメンバーと企業リーダーに求めることを明確化すること。もう1つは、イノベーションには目に見える具体的なメリット(投資に対する収益)から、具体的ではないがおそらくより価値のあるもの(新しい知識やインサイト)まで、多岐にわたるメリットがあると、皆にリマインドすることである。

 だが、成熟事業の尺度をラボに当てはめられないとしたら、それに代わる厳格な尺度とは何だろうか。

 たとえば、新しいアイデアを潜在顧客にテストするとき、初期段階では、このような単純な測定基準が使用できる。「何人のユーザーが、そのアイデアに価値を見出したか?」「友人や知人に話す可能性は?」「実際に使ってくれる可能性は?」

 経済的指標は、試作段階から取り入れられる。「ユーザーはお金を出して買いたいと思うか?」。そして後の段階では「この新商品は収入をいくら生み出したか?」。とはいえ、包括的な基準もなければイノベーションは持続できないため、ケイパビリティ(組織としての総合的な能力・強み)の集中度や、創造的な風土づくりに必要な姿勢を評価するリーダーシップ指標なども含める。