年齢の高い従業員に対する再教育が
日本企業では特に重要となる

――事業ポートフォリオにおける日本の位置づけは、どのようにお考えですか。

 日本は、世界のIT市場のなかでトップ3に入る国であり、多くのグローバル企業にとって重要な市場です。当社にとっても今後、大きなビジネス機会があると考え、積極的に投資を行う方針です。

 我々のビジネスは、ラーニングソリューションから始まり、タレントマネジメント・ソリューションへと拡大していきましたが、日本に限って言えばラーニングが主体です。日本と欧米の企業文化や雇用制度の違いなどが背景にはありますが、日本の場合は、年功序列や終身雇用の仕組みが根強いこともあり、年齢の高い従業員の再教育、継続的な能力開発が特に重要な課題であり、ここに我々のビジネス機会があると見ています。

 私がよく用いる例ですが、マーケティング業務に25年間携わっていたとしても、継続的に学習していなければ、最先端のマーケティング技能を身につけることはできません。過去30年間と、直近の5年間を比べると、デジタル化によってマーケティングの世界も大きく変わっています。そして、営業系、技術系、バックオフィス系などすべての職種について同じ変化が起こっているのです。

「CONVERGE TOKYO 2019」で講演するミラー氏

――日本では雇用の流動化が欧米ほど進んでいないため、伝統的な大企業ほど年齢の高い従業員が数多く抱えています。彼らに再教育の機会を提供し、スキルセットをアップデートするにはどうしたらいいでしょうか。

 継続的な学習のカルチャーが組織に根づいていれば、持っているスキルを変えたり、一段と向上させたりすることは簡単です。つまり、ずっと学習してきた人は、年齢を重ねても学び続けることは難しくありませんが、30年間学ぶことを中断してしまった人が再び始めるのはとても難しいでしょう。学習はあくまでも継続的な取り組みが重要です。

 私がよくアドバイスするのは、従業員の勤務時間の5%を学習に充てるべきだという、学習の「5%ルール」です。5%の勤務時間というのは、1カ月間で1日ほどです。そのぐらいの時間をトレーニングや能力開発などに振り向けていれば、スキルや知識が時代遅れになることはありませんし、学習の習慣を維持することもできます。

――日本企業による海外企業のM&A(買収・合併)が活発化していますが、買収後の統合で苦労し、相乗効果を発揮できないことが多いようです。人材戦略、能力開発の観点からアドバイスはありますか。

 一般的な日本の多国籍企業は、海外の子会社でも日本人がリーダーになっていることが多いようです。一方、M&A巧者と言われる日本企業は、ローカルな人材を積極的にリーダーに登用しています。

 これには、2つのメリットがあります。1つは、現地の市場をよく理解している人が組織を率いることができること。もう1つは、ローカルの従業員に昇格の機会があることを示せること。つまり、「ガラスの天井がない」ことを明示できることです。常に日本人がトップにいて、日本人以外はある一定のポジションまで行くと、そこから先に昇進できないことがわかってしまうと、優秀な人材ほどその会社を去ってしまいます。

 さらに、買収した会社に対しても学習機会をきちんと提供することが重要です。ローカルの人たちは、トレーニングを通じて日本の価値観を学ぶことができますし、会社の目標や使命といったものとベクトルを合わせることができます。

 クラウドを活用しグローバルに展開できるラーニング・ソリューションやタレントマネジメントの仕組みを使えば、世界中の従業員が同じシステム上で、同じ目標を持って、同じトレーニングを受けることが可能です。M&Aの経験を多く重ねた企業ほど、テクノロジーを活用した学習機会の提供とタレントマネジメントの重要性を理解しているはずです。

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