消費者はオーセンティシティをどう評価しているか

 最初に、オーセンティックという表現がどのような意味で組織に使われているのかを調べるために、2つの指標を打ち立てた。1つは、その組織がどれだけ特定のカテゴリーらしいか、もう1つは、その組織がどれだけみずからの理念に忠実であるかであり、それぞれに関連した質問を消費者に投げかけた。

 次に、バージニア州シャーロッツビルのイベント、「レストランウィーク」に参加した24のレストランで食事をしていた利用者に、この2つの観点で店舗での体験を評価してもらった後、また同じ店に来たいと思うか尋ねた。店舗での体験についての評価は、利用者のネットでの採点(「店の全体的な印象はどうでしたか?」星1つ=良くない、星5つ=非常に良い)と、支払意志額(「レストランウィーク期間外で、いくらならまったく同じ食事を食べたいと思いますか?」)によって測定した。最終的に172名の利用者から回答を集め、分析した。

 オーセンティシティのどちらの意味も、その店固有の価値を表していた。

 特定のカテゴリー(「イタリアン」「バーベキュー」など)らしさからオーセンティックな店だと評価した利用者は、星の数を多くつける傾向があった。ただし、値段が高くてもその店で食べたいとは必ずしも思っていなかった。

 一方、価値観に忠実であるという理由で店をオーセンティックだと評価した利用者には、食事代が余分にかかっても構わないと答える人が多かったが、興味深いことに、その評価は必ずしも星の数には反映されなかった(データ解析の際には、以下の因子を統計学的に調整した。価格、店の格に関する客のイメージ、同伴人数、来店経験の有無、年齢、性別、ひと月に外食する平均回数、外食時の平均的な出費)。

 他の3つの調査(回答者631名)でも同じような結果が得られた。そのうちの1つでは、音楽におけるオーセンティシティと評価を調べた。上記の結果と同じように、特定の音楽ジャンルにふさわしいバンドやミュージシャンには多めの星をつけ、みずからの信念や価値観を表現するバンドやミュージシャンのアルバムやコンサートは多少高くても買いたいと答えた。しかし、その逆はなかった。

 4つの調査すべてで、組織を表すオーセンティシティの意味の違いを消費者が認識し、区別し、それぞれに異なる価値を見出していると考えられる結果が得られた。すなわち、カテゴリーらしさを表すオーセンティシティは、星の数のような社会的評価の高さにはつながっても、支払意志額の増加にはつながらず、一方、信念や理念に従っているというオーセンティシティは、割高でも買いたいと思わせるが、必ずしもそれによって採点が良くなるわけではなかった。

 それは、なぜだろうか。

 一つには、カテゴリーらしさが社会的賞賛―この場合で言えば、ネット評価の星の数―につながりやすいという考え方ができる。一方、信念に忠実であると、消費者自身の価値観に共鳴し、より高い支払いに結びつく。

 もう一つの考え方としては、ネットの評価は人を説得したり、情報を提供したりすることによって、特定のカテゴリーのオーセンティシティを高めるように働き、それに対して、割高でも支払おうとするのは、コストをかけても信念を貫こうとするつくり手に報いようとする意志の表れである可能性がある。

 こうしたメカニズムについてはテストしなかったため、今後の研究を通して、どちらの影響を受けているのかを明らかにしていきたい。

 顧客へのアピールを試みる際は、このようなパターンについて考えるべきだろう。オーセンティシティを語れば評判や収益が上がると短絡的に考えるのではなく、自社がどのようなオーセンティシティを打ち出すべきかをよく考えることが重要だ。

 特定のカテゴリーやジャンルらしいという理由でオーセンティックな組織は、商品やサービスの値段を上げることよりも、星をより多く獲得することに注力し、その結果、売上げにつながる集客を増やすという方法で価値の創造に結びつけるとよいだろう(たとえば、イェルプの評価で星が1つ増えたことで、収益を5~9%伸ばした組織もある)。一方、理念に徹するオーセンティックな組織は、特定の顧客層向けのプレミアム商品やサービスから利益を得るのがよいだろう。

 もちろん、我々が行った他の調査では、消費者が、オーセンティシティを押し売りする組織を咎める傾向も見られた。オーセンティックであると謳うのは、謙虚さや賢さを謳うのと同じなのだろう。口先だけでは、そもそもオーセンティックの意味を理解していないことを露呈しているようなものだ。そのため、ちょっとした矛盾と戦わねばならない。

 消費者はオーセンティシティを求めるが、オーセンティックなイメージは慎重につくる必要がある。その努力が、たやすく裏目に出てしまうことがあるからだ。


HBR.org原文:The Kind of Authenticity Customers Will Pay More For, June 27, 2019.

■こちらの記事もおすすめします
顧客は機能だけでなくアイデンティティを買っている
ブランド戦略は進化する:モノ、イメージ、体験から関係性の構築へ
企業は消費者のスローダウン欲求をどう満たすか

 

キーラン・オコナー( Kieran O’Connor)
バージニア大学マッキンタイア商学部経営学助教授。スタンフォード大学で博士号を取得。組織行動を社会心理学・認知心理学の観点から研究する。オーセンティシティ、偽善、気候変動、モラル違反に対する組織の判断過程など。

デービッド W. リーマン(David W. Lehman)
バージニア大学マッキンタイア商学部経営学准教授。パデュー大学で博士号を取得。組織によるオーセンティシティの表現方法、オーセンティシティに対する消費者の反応について研究する。

グレン R. キャロル(Glenn R. Carroll)
スタンフォード大学経営大学院経営学教授。組織、戦略的経営、産業の発達について研究する。最近のテーマは、社会によって形成されるオーセンティシティ。消費者にとっての価値、いかに商品やサービスにオーセンティシティを求め、どのような組織行動や組織構造にオーセンティシティを見出すかなどが対象。