ステレオタイプへの抵抗を教える

 あらゆる性別、人種、出身国、年齢、社会的地位の生徒が、ステレオタイプに基づくのではなく、その人らしさを大事にしながら、自分をリーダーと見なし、自分とは異なるリーダーについて学ぶ――。これこそ、教育者としての我々の目標である。

 これは、ケーススタディの執筆者と教員が、ステレオタイプなど存在しないふりをすべきという意味ではない。その存在を認識したうえで、生徒の意識を高める後押しもする必要があるということだ。

 そこで、教員への提案がいくつかある。

 ●ケーススタディの中で使われている言葉を検証する

 授業で用いるケーススタディを選ぶときに、使われている言葉を慎重に吟味しよう。特に注意を要するのは、文化、主人公、消費者の行動、マーケット・セグメンテーションの描写である。問題のある言葉を含むケーススタディを、完全には避けられない、または避けたくないかもしれないが、もし問題があると気づいていれば、生徒にそこから学んでもらうよう後押しができる(下図参照)。

 ●ステレオタイプな言葉を省くか、コンテキストを説明する

 あなたがケーススタディを書いているなら、我々が見出したステレオタイプの傾向に気をつけてほしい。ほとんどのケースで、先に挙げてきた例に見られる表現は、読者を登場人物に引きつけるためのものだが、ケーススタディの核心に関連があるとは限らない。

 もし必要かどうか迷うなら、省いてみて、内容が問題なく読み取れるか試してみよう。もし書き直せるなら、そうするとよい。ステレオタイプが事例中の結果に影響をもたらした実例を反映しているなら、その旨を注記しよう。

 ●生徒にステレオタイプを見極めるよう指導する

 ステレオタイプのパターンの見つけ方に関する助言を、ケーススタディのカバーレターに書いておこう。そして生徒に、問題がありそうな言葉にアンダーラインを引いてもらい、それが主人公や消費者、状況を吟味する際にどう影響したかについて、議論する準備をしておいてもらう。

 下記に挙げた質問を使い、そのようなステレオタイプの悪影響について議論を進めよう。自分が書いたケーススタディについては、それを使う他の教員にカバ-レターを見せてもよいだろう。

ケーススタディや他の教材のステレオタイプを見極めるうえで、教員と生徒の双方に役立つ一連の質問を我々は考案した。

 このような学習は、教室の中だけにとどまるべきものではない。もっと広い場面で教材を開発している人々も活用できるだろう。たとえば、人材開発組織、学習する組織、オンラインツール、その他さまざまなクラスなどで役立つ。

 言葉の選び方によって、組織でより多く必要とされている人材の活躍がいかに阻害されうるかを、教育者は学習者に教える義務がある。ステレオタイプのパターンを取り除いて、リーダーシップにまつわる言葉を書き換えれば、変化を生み出すことができる。小さくても重要な歩みを、一歩ずつ進めていくのだ。


HBR.org原文:The Stereotypes in MBA Case Studies, June 24, 2019.

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サラ A. ソウル(Sarah A. Soule)
スタンフォード経営大学院のモーグリッジ記念組織行動学講座教授、および学務担当上級副学部長。研究分野は組織論、社会運動、政治社会学。研究テーマには、クラフトビール業界におけるジェンダーバイアスや、議会の関心事に対する女性の抗議行動の影響などが含まれる。

ダビーナ・ドラブキン(Davina Drabkin)
スタンフォード・エグゼクティブ・プログラムが提供する起業家向けのオンライン・リソースである、スタンフォード・エンバークのプロダクトマネジャー。カリフォルニア州バーリンゲーム学区の理事。創造的な学習機会の設計と構築に情熱を注ぐ。スタンフォード大学経営大学院における前職では、デジタル時代に向けてビジネスケースを再編成するうえで先駆的役割を担った。

ロリ・マッケンジー(Lori Mackenzie)
スタンフォード大学クレイマン・ジェンダー研究所のエグゼクティブ・ディレクター。スタンフォード大学ヴイエムウェア・ウィメンズ・リーダーシップ・イノベーション・ラボの共同創設者。