プラットフォーム企業と
サードパーティとの競合で何が起こるか

 プラットフォーム企業の参入がサードパーティに及ぼす影響には、プラスとマイナスの両面がある。

「プラットフォーム企業の参入は、サードパーティにプラスの波及効果を生み、需要を拡大する」とする研究もある。

 このような波及効果は、フェイスブックによるインスタグラムの統合や、グーグルによる写真アプリであるグーグル・フォトへの進出の際に生じている。より多くのユーザーに写真アプリの便利さを気づかせ、サードパーティの写真アプリに対する需要を低下させるどころか、増大させた。同様に、家庭用テレビゲーム機市場では、マイクロソフトやソニー、任天堂などのゲーム機メーカーがゲームソフトも発売したことで、ゲーム機そのものの販売数を増やし、サードパーティがつくるゲームソフトの需要を拡大させた。

 だが、「プラットフォーム企業がサードパーティとの競争に参入すると、マイナスの影響が生じる」とする研究もいくつか存在する。

 たとえば、グーグルが自社の検索エンジンにフライト検索を導入したことで、他のサイトでのフライト検索のクリック数が減少した。アマゾンが自社ブランド製品の販売に参入したことは、サードパーティが同様の製品の販売を扱う意欲をくじいている。

 アンドロイドのプラットフォーム上では、グーグルの参入で影響を受けたサードパーティのアプリの需要が減少している。ただし、これらのアプリ開発者のイノベーション意欲が完全に抑制されたわけではなかった。彼らは、より影響を受けない分野や新たなアプリへと、イノベーションの方向性をシフトした。

 これまでの研究の最大の限界は、プラットフォーム企業の参入による短期的な影響に、主として焦点を当てている点である。だが、我々がこれまでに入手した多くの研究からは、いくつかの重要な所見が浮かび上がっている。

 第1に、私が目を通したいずれの実証的研究においても、プラットフォームユーザーへのマイナスの影響は認められない(少なくとも短期的には)。なぜなら、プラットフォーム所有者の参入後、消費者は往々にして、補完サービスへのアクセスが容易になったり、以前よりも低価格で入手できるようになったりするからだ。

 第2に、プラットフォーム企業の参入には複数の理由があり、サードパーティとの競争だけが目的ではない。

 第3に、サードパーティへの影響にはプラスもマイナスもある。彼らは、需要の拡大による恩恵を受けることもある。だが時として、ただただ競争に四苦八苦して、事業を撤退すらすることもある。したがって、大手プラットフォーム企業に対する政策による介入の前に、慎重な実証的分析が必要とされる。

 最後に、次の点を認識することが重要だ。プラットフォーム企業には、みずから参入する以外にも、もっと大きな価値を獲得する手段がある。たとえば、サービス料を値上げしたり、自社とより大きな価値を共有するサードパーティに有利なポリシーを採用したりすることもできる。

 これらの結果は、規制の良し悪しを必ずしも示唆するものではない。だが、プラットフォーム企業の参入を規制することにばかり注力している政策立案者は、参入の背後にあるさまざまな動機を考慮に入れて、それを新たな規則に組み込むべきである。


HBR.org原文:When Tech Companies Compete on Their Own Platforms, June 21, 2019.

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フェン・ズー(Feng Zhu)
ハーバード・ビジネス・スクールのピラマル記念経営管理学講座准教授。プラットフォームを基盤とする市場に重点を置いて、ハイテク業界における競争戦略とイノベーションについて研究している。