(1)何を自己管理したいのか

 自分の典型的なアプローチに注目する。どのような言動が多いか、どのような言動は控えているか。現在のやり方が、自分で思っているほどうまくいかない例を挙げてみよう。そのような場面で自己管理が役に立つかもしれない。たとえば、リックの場合、会議でしゃべりすぎることが自己管理の対象になるだろう。

(2)自己管理が欠けている理由を熟考する

 自己管理をしたいのにできていない場面で、あなたはどのように感じているか、どうしたいのか、あなたの周りで起きていることをどのように解釈しているか。何が、あなたにそのような行動を取らせるのか。その瞬間に自己認識が足りないのか、自分をよく見せたいのか、スキルが足りないのか、不安なのか、何かほかに理由があるのだろうか。

 たとえば、会議でしゃべりすぎる理由を考える。自分の意見がほかの人より優れていると思うからかもしれない。あるいは、発言を控えようと思ったことさえないかもしれない。

 行動重視の人は、この熟考のステップを飛ばして、すぐに計画を立てて実践したくなるかもしれない。しかし、焦らないこと。自分がその選択をする理由を理解することは、その選択を変えるうえで重要になる。

(3)自分の選択と、それに対する自分の反応について考える

 自己管理ができていたら、既定の振る舞いではなく、どのような行動を取れるだろうか。それらの選択に、あなたはどのように反応するだろうか。そこにあなたの好みや習慣がどのような影響を与えるだろうか。既定の習慣や好みを回避するために、どのような努力をしているだろうか。

 会議でしゃべりすぎる場合、たとえば、自分の意見を口にする前に、ほかの人が話すのを待つこともできる。では、待とうと決めたとき、あなたはどのように思うだろうか。誰かが自分と同じ意見を言ったら自分の手柄にならないと、不安になるだろうか。ほかの人の意見が自分の意見のように効果的ではなかったら、間違った決定が下されると不安になるだろうか。

(4)計画を立てる

 自分が何を変えたいかがわかり、自分の振る舞いの理由を理解して、ほかの選択肢もわかった。続いて、具体的な行動を考えよう。たとえば、1回の会議で発言する回数や時間を決める。あるいは、次の会議は聞くだけにして、発言はしないこともできる。

(5)練習する

 昔からの習慣は、脳の回路にしっかりと組み込まれている。それを変えるためには、新しい神経回路(新しい習慣)をつくらなければならない。

 それには練習が必要だ。たとえば、自分が発言した回数を数えて、上限に到達したら発言をやめる。あと1つ重要な意見が残っているとしても、上限を守ること。

 その振る舞いを常に自己管理できるようになるまで、練習を繰り返す。自分の振る舞いや、それに対する自分の反応から学んだことを、練習に活かせるだろうか。

(6)このプロセスを繰り返す

 ステップ(2)に戻る。ここまでの過程を振り返り、自分の選択を熟考して、計画を修正し、さらに練習を重ねる。自分はどのように行動するのか、自分の振る舞いの理由は何か、どうすれば改善できるか。プロセスを繰り返しながら、少しずつ学んでいけるだろう。

 自己管理に努めるより、自分が慣れていて気持ちよく感じる振る舞いをしたくなるのは当然だ。ただし、そのままでは向上も進歩もない。できるだけ有能なリーダーになるためには、自己認識から自己管理へと進む必要がある。

 まず、自分の現在の行動を認識して、ほかの選択肢を考える。自分が最も慣れている選択や、居心地のよい選択を否定するためには、努力して練習しなければならない。習慣ではなく最も生産的な振る舞いを、効果的に実践しよう。


HBR.org原文:How to Move from Self-Awareness to Self-Improvement, June 19, 2019.

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ジェニファー・ポーター(Jennifer Porter)
リーダーシップとチームの開発を支援する企業、ボダ・グループ(The Boda Group)のマネージングパートナー。ベイツ大学卒業後、スタンフォード大学スクール・オブ・ビジネスを卒業。オペレーション担当の上級幹部としての経験を積み、上級幹部とチームのコーチを務める。