5Gネットワークのポテンシャルについては、まだまだいくらでも予測できる。だが多くの新技術と同様に、そして我々の調査が明らかにしたように、いつ、誰が、どこで、どのようにして、に関しては、多大な不確実感もある。

 5Gが十分に実現されるのは5年先のことかもしれない。規制当局と地方政府によるチャンスと課題双方への対応方法によっては、もっと時間がかかるかもしれない。我々が挙げた応用例は、遅かれ早かれ実現されると思われる。さらに、まだ思いつきもしない数多くの応用もあるだろう。

 いずれにせよ、現在主流を占める企業が5Gに向けた準備を加速させないままならば、結果として生じるギャップは、新規参入者やスタートアップを必然的に引き寄せるだろう。それは、破壊的変化を一気に解き放ち、成熟した業界、エンターテインメントならばiTunesやネットフリックス、交通ならばウーバーやリフト、製造ならば3Dプリンターなどを揺るがすことになる。

 だからこそ今日、5Gのプラニングと投資に対して積極的かつ計画的なアプローチを採るよう勧めている。

 影響を受ける業界(やがて全業界となる)の企業にとって、ある特定の技術やアプリケーションに集中することには、ほとんど意味がない。しかし一方で、新たな5G市場が出現するのを待ち、いわゆる「ファスト・フォロワー(素早い追随者)」として参入するといった古いアプローチも、効果がないだろう。

 その理由は、たとえ破壊的変化が最初は時間がかかるように見えるとしても、いったん動き出せば、そこから利益を手に入れる競争は往々にして、始まった時点で勝者が決まってしまうからだ。まだウォームアップも済んでおらず、スタートラインについていないとしたら、その企業が勝つ見込みは、ほぼゼロに等しい。

 さらに、5G技術が可能とする新たな応用例の多くは、従来型のサプライチェーンや業界の境界を越える、相互接続されたエコシステムによって培われるだろう。

 5Gが究極的に放つ価値のほんの一部でも獲得しようと望むのであれば、おそらくは業界のコンソーシアムの形態で、企業によるバランスのとれたベンチャー投資を伴って、早い段階で持続的な介入が必要になると思われる。いますぐパートナーの選定と、新たな形態のコラボレーションと共同投資の実験を開始すべきである。

 企業は、現行の事業を改善し続けつつ、5G市場がどのように姿を現すか、注意して見守り続ける必要がある。時とともに未知数が小さくなっていったとき、新たな製品・サービスを急速に拡大できるよう備えるには、それが唯一の方法だ。


HBR.org原文:5G’s Potential, and Why Businesses Should Start Preparing for It, March 05, 2019.

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オマール・アボッシュ(Omar Abbosh)
アクセンチュアのコミュニケーションズ・メディア・テクノロジー・オペレーティング・グループの最高責任者。共著に、Pivot to the Future(未訳)がある。

ラリー・ダウンズ(Larry Downes)
Pivot to the Future(未訳)の共著者。ほかの共著に、『ビッグバン・イノベーション』『キラーアプリケーション』がある。