自分らしさを貫き、偽りのない自分から湧き出る「オーセンティック・リーダーシップ」が注目を集めている。EIリーダーシップ・トークセッション第2回は、かねてよりオーセンティック・リーダーシップの必要性を伝えてきた小杉俊哉氏と、自らそれを体現してきた新井和宏氏をゲストに迎え、本物のリーダーシップとは何かが熱く語り合われた。(構成:加藤年男、写真提供:一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート)

古いリーダーシップはもはや機能しない

 オーセンティック・リーダーシップとは何か。この問いに入る前に、まず、リーダーシップの変遷に触れておきたい。

小杉俊哉(こすぎ・としや)
慶應義塾大学理工学研究科特任教授。早稲田大学法学部卒業。
自費にてマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院修士課程修了。日本電気株式会社、マッキンゼー・アンド・カンパニー インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を経て39歳で独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。元立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 客員教授。専門は、人事・組織、キャリア・リーダーシップ開発。著書に、『職業としてのプロ経営者』、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)、『リーダーシップ 3.0-カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)など。

 マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルティングに携わり、アップルコンピュータの人事総務部長を経験した慶應義塾大学理工学研究科特任教授の小杉俊哉氏は、「リーダーシップにはそもそも正解がなく、それぞれが自分の思いを語るだけではかみ合わない」と語る。そこで小杉氏は6年前に、『リーダーシップ3.0』という本を執筆、歴史を振り返ってリーダーシップのタイプを1.0から3.0まで分類してみたという。

「1.0は強大な権力を背景に従えた権威によるリーダーシップ。次いで、1.5として1960年から90年代初頭まで、人に権限を渡してやらせる調整型リーダーが現れた。次に出てきたのが、GEのジャック・ウェルチなど90年代の変革のリーダーによる2.0だった」

 それが「いまや3.0となり、一人ひとりと向き合って、その人の力を引き出す支援型が必要とされている」とし、そのうえで「強いカリスマ性を求める古いリーダーシップはもはや機能しなくなっている」と断言した。

 カリスマ型を求めるということは、言い換えれば、自分ではない何者かの「型」を求めるということであり、いきおいそれは、役割を演じる「(自分)らしくないリーダーシップ」となる。

 つい演じてしまう「らしくないリーダーシップ」と「オーセンティック・リーダーシップ」の違いは何か。MILI(一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート)代表理事の荻野淳也氏は、その対比を図のようにまとめて解説する。

出所:一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート

「鎧をまとったリーダーは会社の基準を中心に生きている。そうした人は他者からの批判に対する恐怖や不安を抱いている。一方、オーセンティック・リーダーシップを体現するリーダーは、自分自身の価値観や使命感、信念に基づいて生きている。自分の弱さもさらけ出せることが本当の強さであり、そうした人物のもとに共感する人が集まってくる」