プロフェッショナルが
ギグワーカーとして成功するには、何が必要か

 これらの問題を踏まえて、プロフェッショナルはフリーランスになるべきかどうか、なる場合はいつ、どのように独立すべきかを、慎重に考える必要がある。回答者の一人がコメントしたように、「(独立してコンサルティングを行うには)信用でき、信頼されるアドバイザーになるための適切な経験だけでなく、不確実性や、経済的安定の欠如、そして仕事量の大幅な変動というチャレンジに対処するために、適切なマインドセットも必要だ」

「適切なマインドセット」とは何か。我々の分析によれば、満足度が極めて高く、大いに成功しているフリーランス・コンサルタントは、ギグエコノミーで働くというユニークなチャレンジに対処するために、3つの能力を磨いていた。すなわち積極性、心理的レジリエンス(回復力)、そしてメンタル・アジリティ(精神的敏捷性)だ(下記の質問表に答えると、これら3つの能力を測定できる)。

 ●積極性

 フリーランスの仕事の要は自己管理であり、それを代表する特徴が積極性である。

 回答者の一人のコメントによれば、この分野に入ろうとしている人が習得する必要があるのは、「ネットワークや仲間づき合いを積極的に管理し、外部とのコンタクトをできるだけ多く維持すること。関係の構築に時間を投資すべきだ」。

 別の回答者は、スキル開発に積極的であることが重要だと考えている。独立してコンサルティングを行うことに興味がある人に必要な資質は、「エキスパートになり、その専門分野を学び続ける」ことであるとコメントした。

 この回答者は、リスク対策に積極的である重要性についても、次のように指摘した。「積極的に前もって計画を練っておき、問題やリスクが発生する前に対処する。クライアントと良好な関係を築き、自分のブランドと相手からの信頼を築く」

 我々の調査対象となったフリーランス・コンサルタントの回答によれば、積極性のレベルが高いほど、キャリアへの満足度と成功度も高かった。積極性を高めるとはすなわち、全体像とキャリア計画のために、そしてネットワーク管理のために、意識して、かつ一貫して、時間を確保することだ。

 我々と話したフリーランス・コンサルタントのうち、極めて積極的な何人かは、将来計画の立案、クライアントや仕事仲間に接触してパフォーマンスのフィードバックを求めること、そして中心的スキルの開発と更新を、必ずスケジュールに組み込んでいた。

 積極的なフリーランス・コンサルタントの多くが実行していた別の方法は、コンサルタントのグループや協会に加入して、プロジェクトや他の人たちと結びつく手がかりを得ることだった。コワーキング・スペースへの参加は、孤独を避けるための積極的な戦略だといえる。

 ●心理的レジリエンス

 フリーランスのプロフェッショナルは、心理的レジリエンス、すなわち逆境から立ち直る能力や、不確実性、安定感の不足、混乱に対処するための能力を磨く必要もある。

 回答者の一人は「不確実性とチャレンジを愛する術を習得する」ように勧めた。我々の調査で、より高い心理的レジリエンスを示したフリーランス・コンサルタントは、心理的レジリエンスが相対的に低い同業者よりも、報酬支払請求日数が相対的に多く、満足度も相対的に高かった。

 心理的レジリエンスを高めるとはすなわち、フリーランス・プロフェッショナルの仕事は乱高下し、混乱に満ちているという見通しを、受け入れる術を習得することだ。この状況を単にチャレンジの一つとして常態化させ、仕事の中でコントロール可能な側面に注力すれば、プロジェクトがとん挫した場合にも平常心を保ちやすくなる。たとえば、特定のギグの仕事に選ばれるか否かはコントロールできないが、自分で入札するプロジェクトの数はコントロールできる。

 ●メンタル・アジリティ

 フリーランスの仕事には、メンタル・アジリティ、すなわち、さまざまな視点を受け入れ、仕事について柔軟に考える能力も必要だ。回答者の何人かは、「順応性がある」ことが、フリーランス・コンサルタントにとって、いかに重要であるかを強調した。

 我々の調査結果では、フリーランス・コンサルタントの報酬支払請求日数とメンタル・アジリティとの間に、正の相関関係が認められた。言い換えれば、メンタル・アジリティは、より多くの仕事と、より高い経済的安定につながっていた。

 プロフェッショナルがメンタル・アジリティを高めるには、異なる人々の視点に立ち、自分のコアビジネスの新しい可能性を探ることだ。その戦略の一つとして、さまざまなオーディエンス向けに、いろいろなフォーラムでアイデアをプレゼンして、多岐にわたるフィードバックを得ることだ。

 積極性、レジリエンス、そしてアジリティは、ほとんどのプロフェッショナルの仕事にとって重要と考えられるが、我々の調査によれば、これらの能力は、独立して仕事をしている人たちにとって、とりわけ重要だ。

 3つの能力は、我々が調査したフリーランス・コンサルタントの満足度や成功度の高さに関連していた。だが、会社勤務のコンサルタントの間では、これらの能力と仕事への満足度に有意な相関性は認められなかった。興味深いことに、我々の調査では、フリーランス・コンサルタントとして働いた後、定評のあるコンサルティング会社に再雇用された30人は、レジリエンスとアジリティの評価得点が著しく低かった。

 ギグワーカーになることを検討しているのであれば、思い切って一歩を踏み出す前に、前述の3つのスキル磨きに投資することが重要である。そうすれば、フリーランスになることのメリットを最大限享受できる。


HBR.org原文:Are You Ready to Go Freelance? May 21, 2019.

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ブリアンナ・バーカー・カザ(Brianna Barker Caza)
マニトバ大学アスパー・スクール・オブ・ビジネスのリチャード・モランツ・アンド・シェリー・ワルダー・モランツ記念講座准教授。ビジネス倫理を担当。

スーザン J. アシュフォード(Susan J. Ashford)
ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスのマイケル・アンド・スーザン・ジャンデルノア記念講座教授。経営学と組織論を担当。

エリン・リード(Erin Reid)
マックマスター大学デグルート・スクール・オブ・ビジネス准教授。

ディーナ・マッカラム(Dena McCallum)
フリーの経営コンサルタントを束ねるグローバルなコンサルティング・ファーム、エデン・マッカラムの共同創設者。