分析結果

 私たちはこの分析のため、各チームの毎年の戦績を含む38年分のパネルデータを作成した(詳細は、本稿末尾にある分析方法の部分を参照のこと)。

 サンプル期間において、4つのリーダーシップによって各チームの成否をかなり高い割合で説明できた。全体を通して、4つのリーダーの変数(クォーターバック、コーチ、ゼネラルマネジャー、オーナー)は、チーム成績の分散の3分の2以上に当たる68.2%に寄与したのである。

 数十億ドル規模の組織で、たった4人の個人がこれほど影響を及ぼしているのを見るのは、まったくの驚きではないにせよ興味深い。68.2%のうち、オーナーの重みは最も低く(因子寄与率11.12%)、次がゼネラルマネジャー(22.43%)、そしてコーチ(29.08%)、最後がクォーターバック(37.37%)だった。

 これは、成績の分散でクォーターバックはオーナーの3倍以上の重みを持つことを意味しており、チームの成功に最も不可欠な存在のように思える。とはいえ、コーチとゼネラルマネジャーもやはりきわめて重要であり、私たちのモデルの因子寄与率で半分以上を占めている。

 前述の通り、チームのリーダーが複数の役割を兼務するケースもある。その2つの例がジェリー・ジョーンズとビル・ベリチックで、データセットでは彼らに複数の役割を割り当てたが、他にも掛け持ちしている人はいた。

 そのような状況では、コーチとゼネラルマネジャーの兼任者のほうが、クォーターバック単独よりも、分散に与える影響が大きいことがわかった。したがって、クォーターバックより兼任幹部のほうがチームの成績に影響を及ぼすと言って差し支えないだろう。

 また、私たちはサンプルを2分割して(20世紀の19年間と21世紀の19年間)、何らかの傾向が見られるかを検証することにした。その結果、20世紀はオーナーとゼネラルマネジャーの重要性がわずかに高かったが、21世紀にはクォーターバックの重要性が増してきたことがわかった。

 近年のフットボールはいっそう複雑になり、オフェンスが優先されることが多くなっている。『ガーディアン』紙は2018年のシーズン中、「NFLではオフェンスがきわめて活発になっており、最も衝撃的なのはパス回数の急増ぶりだ」と報じている。

 この変化に伴い、有能なクォーターバックを有する重要性が、かつてなく高まっているのではないかと私たちは仮定した。今回のモデルによると、そのあおりを受けたのは、オーナーとゼネラルマネジャーだった。

 このクォーターバック偏重の傾向を知るには、最近のMVPの投票結果を見れば十分だ。過去12年間のMVPの92%をクォーターバックが独占している。アメフト史の初めの32年間ではクォーターバックの受賞率は63%であり、そこから劇的に上昇している。

 それを考えると、誰もが4月に行われるNFLのドラフトを注視し、クォーターバックのトップ選手の動向がフリーエージェントの時期に大きな話題になるのも当然だ。そして分析結果を見ると、リーグ全体が大学生のクォーターバックの評価と予測に夢中になるのも理解できる。

 統計分析サイトのファイブサーティエイトによると、「スポーツのポジションでクォーターバックほど重要かつ誤解されているものはない」のだが、「フットボール選手の評価に関する世界一流の専門家たち――NFLのスカウト、コーチ、ゼネラルマネジャー――は長年にわたり、優れたクォーターバックとダメなクォーターバックの見極めがひどく下手なことで知られている」という。これが示唆するのは、チームはクォーターバック候補の評価システムの開発をこれからも優先しなければならないということだ。