(5)ポッドキャストとBookTubeを利用して「次の1冊」ジレンマを解消する

 読書のペースを速め始めると、すぐに最大の問題になるのが、「さて、次は何を読んだらよいか」である。空港の書店にうず高く積まれている本や、ベストセラーリストに載っている書物の枠を超えるには、人生を真に変える本を見つけることを念頭に置いて、既刊書リストや書店の脇の書棚を詳細にチェックする必要がある。

 選択肢が無限にある時代には、キュレーション(インターネット上の情報を収集し、まとめること)の価値が飛躍的に上昇する。ポッドキャストとBookTube(YouTubeのサブセットとして、対象を本に絞った動画共有サイト)は、いまや読者にとって夢のキュレーション・マシーンだ。

 どこから始めればよいか。ポッドキャストでは、オンラインサイトModern Mrs. Darcy内の“What Should I Read Next?”が、「次の1冊」問題に真正面から取り組んでいる。また、同様の本のサイトBookRiotのアマンダ・ネルソンが主宰する“Get Booked”は、カスタムメイドの本の紹介をしている。私自身も“3 Books with Neil Pasricha”を配信しており、番組では、TEDのクリス・アンダーソンや、ジュディ・ブルーム、チップ・ウィルソンなどをゲストに迎え、人生に大きな影響を与えた3冊の本を紹介してもらっている。

 さて、BookTubeはどうか。BookTubeについては、こちらをクリックすれば素晴らしい概要を閲覧できる。また夢中になる最初のチャンネルとしては、“Ariel Bissett”“PolandBananasBOOKS”などがある。

(6)あらゆるニュースのフォローを解除する

 私はたしかに、前述のHBR記事で、本に没頭するために5つの雑誌と新聞2紙の定期購読を解約したと伝えた。それでも、ニュースが追いかけてきた。どこからか、おわかりだろう。オンラインからである。

 インターネット上では徹底する必要がある。ソーシャルメディアの各ニュースサイトのフォローをやめ、ニュースサイトのブックマークすべてを解除(すべてのパスワードも解除)する。

 政治学者ハーバート・サイモンの言葉を覚えておいてほしい。同氏曰く、「情報が何を消費するかは、かなり明白だ。受け手の注意力を消費するのだ。それゆえ、情報が豊かになれば、注意力は貧困になる。そして貧困になった注意力を、過剰なさまざまの情報源に効率的に配分する必要が生じるが、これらの情報源も注意力を消費するおそれがある」(この問題をもっと掘り下げたければ、Farnam Streetサイト掲載記事「ニュースを読むのをやめるべき理由(Why You Should Stop Reading News)」と、Raptitude掲載記事「ニュースをやめて気づく5つのこと(Five Things You Notice When You Quit The News)」の一読をお勧めする)。

(7)他には何もやってこない本で読む

 著作家セス・ゴーディンが、インタビューの中で私にこう語った。「iBook上では、ワンクリックしさえすればメールをチェックできるので、読書などできない」。中断されたり、アラートを受信したり、あるいは通知を受けたりしうる場合は、必ずそうなる。その状態は、本の世界に深く没入するのに向いていない。

 それでは、私のお勧めは何か。手に取れる本、手に取れるページ、手に取れる紙面だ。そう、木を多少切ったとしても、それが自分自身の心の世界に埋没する能力を強化することを意味するのであれば、よしとしたい。結局のところ、現物の本でしか、そこで繰り広げられるショーを全面的に監督できないのだ。

 紙の本には、あなたの心の声に置き換わる音声はいっさいないし、書式設定や表示画面が作家の芸術的意図に影響を与えることもまったくない。もちろん、印刷文字よりも大きなフォントが必要な場合や、終日ドライブするのでオーディオブックのほうが好ましい場合があることも、了解している。

 ただ、私が言おうとしているのは、まさに私のように、この先ずっと一家言ある真の本好きを自認するのであれば、現物の本あってのものだ。そして、デバイスを使わなければならない場合には、メッセージを受信できないタイプの電子ブックリーダーであることを確認してほしい。

(8)地元の書店員に相談する

 私にとって史上最高のお気に入り書店員は、トロントにあるアナザー・ストーリー・ブックスサラ・ラムジーだ。私が書店に入り、おしゃべりを始め、打ち明け始め、苦労していることを伝えると、彼女は「ふーむ」とか「なるほど」と何度も相槌を打って、私の状況を品定めする。そんな風に話しながら、私たちは30分ほど店内を歩き回る。

 彼女が探し出してくれるのは、たとえば、離婚後の私に最適な本、オーストラリア旅行前に最適な本、子育てに悪戦苦闘している時に最適な本、といった具合だ。こうして、私は腕いっぱいに本を抱えて書店を出る。どの本も私の心の状態に完全にフィットしていて、私が成長を望んでいたり、必要としていたりするジャンルに該当し、しかも、より深いレベルで私の心に響く本ばかりだ。

(私がそうであるように)あなたも「人間こそ最高のアルゴリズムである」と信じているのであれば、地元にある独立系の書店に入り、壁に貼られた「スタッフお勧め本」リストを品定めして、興味関心があなたと一致する書店員を割り出そう。それから、その書店員に個人的な推薦図書を尋ねることが、その後、あなたのお気に入りになる本を手っ取り早く見つけるのによい方法だ(手始めに、全米の独立系書店を知りたければ、こちらをクリックすると一覧が見られる)。

 さて、読書をする準備は整っただろうか。読みたくてうずうずしているだろうか。それともあなたは、自分の行動変化を促すにはまず、盤石な科学的根拠を聞く必要があるタイプだろうか。

 あと3つほど理由が必要であれば、お伝えしよう。

『アニュアル・レビュー・オブ・サイコロジー』誌の2011年の掲載論文によれば、読書によってミラーニューロンが活性化され、感情移入、共感力と理解力の発達を担当する脳部位が活発に働くようになる。つまり読書をすれば、リーダーとして、教師として、あるいは親や兄弟姉妹として、よりよい人になる。

『サイエンス』誌に発表された別の研究結果によれば、文芸小説の読書は、共感力と社会生活機能の向上に役立つ。

 そして最後に、エモリー大学で2013年に実施された驚くべき研究によれば、小説のいくつかのセクションを読むように求められた被験者のMRIを、読書をした翌朝に撮影した結果、左脳側頭皮質(言語の受容に関連する脳部位)の神経のつながりが活性化していた。

 本を毎日開くことの長期的メリットについて、ちょっと想像してほしい。

 ほとんどの人は、本をもっと読みたいと思っている。そして、確実にそうできる。

 心身の健康は食べる物で決まり、何を読むかで決まる。

 ページをめくり続けよう。


HBR.org原文:8 Ways to Read the Books You Wish You Had Time For, April 10, 2019.

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ニール・パスリチャ(Neil Pasricha)
『心に雨が降った日に開く本』のベストセラー作家。近著に、The Happiness Equation(未訳)がある。失敗、レジリエンス、幸福、信頼、感謝について考え、執筆している。著作6冊が『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリストにランクイン。なかでも『心に雨が降った日に開く本』、およびThe Happiness Equation(未訳)は、それぞれ100万冊以上売れ、ベストセラーリストに連続200週以上ランクインしている。また「トップ100 iTunes」を受賞したポッドキャスト3 Books with Neil Pasricha のホスト役として、世界で最も心の糧になる本1000冊を見つけ出す旅を15年前から続けている。TEDSXSWグーグルなどで基調講演スピーカーを年間50回以上務めている。オンラインでも発信しており、Neil.blogでは推薦図書を紹介している。