「自分事化」を起こすのは難しい、という現実

 プログラム中に「自分事化」が起きる/起きない、プログラム後に「自分事化」が起きる/起きない、の全てのパターンについて、上記のように実例がある。

 しかし現実には、プログラム後の環境で「自分事化」が起きている(1)や(3)のケースは全体で見れば少数である。(2)や(4)のケースのように、プログラム後の環境で「自分事化」がまだ起きてないケースが多い。

 留職プログラム終了後、所属元の組織に戻った留職卒業生(アラムナイ)からは、「組織の縦割りや年功序列の壁が厚かったり、各部署の調整に追われたりで、プログラムで得た経験が活かせない」「留職で得た気づきや学びを上司や同僚に伝えようとしても、うまく伝わらない、話を聞いてもらえない」「新規事業の提案として新興国でのビジネスを提案したが、誰からも反応がない」といった苦悩の声が多く聞かれる。

 ことほど左様に、プログラム後に所属元の組織で「自分事化」を起こすのは難しい、という現実がある。次回は、以上の結果への対策について論じる。

新しいリーダーシップ開発論
[連載第1回]「留職プログラム」が切り拓くリーダーシップ
[連載第2回]「異質」かつ「成果が厳しく求められる」環境で育む強烈な原体験
[連載第3回]マインドセットの大転換「自分事化」
[連載第4回]「留職プログラム」の成否を握るキーファクターは何か
[連載第5回]「ペルソナ」ごとのリーダーシップ成長のトリガー

 

中山 慎太郎
NPO法人 クロスフィールズ 副代表。2006年一橋大学法学部卒業。国際協力銀行、国際協力機構、三菱商事株式会社にて特に中南米のインフラ開発に従事後、2014年にクロスフィールズ参画。留職プログラムのプロジェクトマネージャ―、留職事業の事業統括を経て、経営管理部門と法人営業部門の事業統括を務める。2018年6月に副代表に就任。

小沼 大地
NPO法人 クロスフィールズ 共同創業者・代表理事。一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊として中東シリアで活動した後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて勤務。2011年5月、NPO法人クロスフィールズを創業。2011年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出、2016年に『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』の「未来をつくるU-40経営者20人」に選出される。国際協力NGOセンター(JANIC)の理事、新公益連盟の理事も務める。著書に『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)。


NPO法人クロスフィールズ
2011年5月創業。「すべての人が「働くこと」を通じて、想い・情熱を実現することのできる世界」「企業・行政・NPOがパートナーとなり、次々と社会の課題を解決している世界」の実現をビジョンに掲げ、留職プログラムを旗艦事業として、国内外の社会課題の現場と企業の間に、枠を超えた橋を架ける様々なプログラムを展開、そこで生まれる挑戦への伴走を続けている。