自分らしさを見つけるポイント

 オーセンティック・リーダーシップの実践にあたっては、まずは自分らしさを見つけ、それをメンバーに対して発揮する必要がある。

 その際、気を付けるべきは、「自分らしくいる」という意味を取り違えてしまうことだ。周囲と隔絶し、自由気ままでいる「自己完結型」では、自分らしさはわからない。自己認識は、他者とのふれあいがあってはじめて可能となる。

「矛盾していると思うかもしれないが、自分らしさは周囲との比較ではじめて浮き彫りになるからだ。なので、メンバーと積極的に交流して自分を開示し、フィードバックやアドバイスをもらうとよい。それを繰り返す中で自分らしさが見えてくる」

 ただし、比較の仕方には注意したい。一つの視点から物事を見るのではなく、結果と行動、本質と現象など、常に対極の視点を意識するとよい。これを中竹氏は「対極視点法」と名付けている。例えば仕事場での自分らしさを考えるとき「売り上げがいくらなど、結果だけに着目していてもなかなか自分らしさは見えてこない。その結果を得るまでのプロセスや行動に注目することで、自分らしさが徐々に見えてくる」。

 また、他者と比べる際の注意点もある。それは「差」ではなく「異」に注目することだ。「差」は、数字などで比較できて優劣をつけられるものが多い。たとえば、身長や営業成績などである。一方、「異」とは、それぞれが固有に持っている違いを指し、他人と優劣をつけられない特徴を指す。

 ビジネスやスポーツの世界では、「差」による比較が中心だった。しかし、それだけでは自分らしさを見つけにくい。「異」を見つけるのは容易ではないが、プロセスの中で起きている現象を丹念に観察することで見えてくるという。

弱みをさらけ出す勇気を持て

 オーセンティック・リーダーシップをメンバーに発揮する際に重要なのが、弱みをさらけ出すことだ。前出の通り、人間は組織の中で自分をよく見せたいという習性があるため、弱みを見せることは情けない行為のように思えてしまう。動物としての本能からしても、弱みをさらした瞬間に捕食されるわけであり、恐怖でしかない。

 弱みをさらけ出すには勇気がいる。そのことはみな、本能的にわかっている。だからこそ、リーダーが率先して弱みをさらけ出す行為を見て、勇気をもって恐怖に打ち勝とうとしている、挑戦していると感じるのだ。

 何より、「勇気は伝播する」。リーダーの勇気がメンバーを鼓舞し、メンバーも勇気を持って臨むようになる。その結果、チームのパフォーマンスが高まっていく。ハーバード大学教育学大学院教授のロバート・キーガンも、弱さを見せあえる組織、自らの限界を認め、乗り越える組織こそが強いと説いている。

 ちなみに、自分らしさを考えるうえでポイントとなるのは、好き嫌いをはっきりさせること、そして時には、好き嫌いを相手に直接伝えることだと言う。これもまた、勇気のいる行為に違いない。

 オーセンティック・リーダーシップについての詳細は本書に譲るが、注意したいのは、それが唯一の正解ではないことだ。中竹氏は「最も大事なのは、自分やメンバーの持っている力を真に引き出し、チームのパフォーマンスを最大化することだ。常にありのままの自然体でいて、自分の弱みを包み隠さずさらけ出せるリーダーは、変化に対応し、逆境でもぶれない強さを発揮できる。それがひいては、個の幸せにもつながる」と締めくくった。


2019年5月16日、東京・LIFORK大手町にて開催。

※本イベントで行われた中竹竜二氏とカルビー常務武田雅子氏の対談編は、6月10日・11日にダイヤモンド・オンラインにて公開予定。