2つの事例が意味すること

 ご紹介した2つの事例は、留職者本人のスキルセットや海外経験値は、必ずしもプログラムの成否を握るキーファクターとはならないことを示している。

 Aさんと松葉さんで大きく異なっていたのは、2人の性格や現地での仕事への取り組み方であった。具体的には、Aさんはリスクを1つ1つ慎重に洗い出してから行動しようとしていたのに対して、松葉さんはまず行動し、そこから見えてきたことから改めて思考を深めていた。

 このような留職者の性格上の特性が、プログラムでの成長しやすさ/しにくさに対して、何らかの影響を与えている可能性はないだろうか。そんな仮説の下、留職者の性格特性と留職プログラムでの成長の関連性について分析を行った。次回はその結果を紹介する。

新しいリーダーシップ開発論
[連載第1回]「留職プログラム」が切り拓くリーダーシップ
[連載第2回]「異質」かつ「成果が厳しく求められる」環境で育む強烈な原体験
[連載第3回]マインドセットの大転換「自分事化」

 

中山 慎太郎
NPO法人 クロスフィールズ 副代表。2006年一橋大学法学部卒業。国際協力銀行、国際協力機構、三菱商事株式会社にて特に中南米のインフラ開発に従事後、2014年にクロスフィールズ参画。留職プログラムのプロジェクトマネージャ―、留職事業の事業統括を経て、経営管理部門と法人営業部門の事業統括を務める。2018年6月に副代表に就任。

小沼 大地
NPO法人 クロスフィールズ 共同創業者・代表理事。一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊として中東シリアで活動した後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて勤務。2011年5月、NPO法人クロスフィールズを創業。2011年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出、2016年に『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』の「未来をつくるU-40経営者20人」に選出される。国際協力NGOセンター(JANIC)の理事、新公益連盟の理事も務める。著書に『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)。


NPO法人クロスフィールズ
2011年5月創業。「すべての人が「働くこと」を通じて、想い・情熱を実現することのできる世界」「企業・行政・NPOがパートナーとなり、次々と社会の課題を解決している世界」の実現をビジョンに掲げ、留職プログラムを旗艦事業として、国内外の社会課題の現場と企業の間に、枠を超えた橋を架ける様々なプログラムを展開、そこで生まれる挑戦への伴走を続けている。