「自分事化」の実例

「自分事化」の具体的な実例をご紹介しよう。留職者は電機メーカーのITエンジニア、留職先はインドで障碍者向けに職業訓練を行っているNGOであった。

 彼は当初、留職先の情報管理データベースの再構築に取り組んでいた。それを進めるうちに、留職先の活動が急速に拡大中で、あらゆるインフラや仕組みがそれに追いついていないことに気づいた。特に、障碍者が訓練に使うIT機器のスペック策定、業者選定、調達オペレーションの滞りが活動の大きなボトルネックとなっていた。

 これらの持続可能なオペレーション体制の構築が留職先にとって不可欠な課題と考えた彼は、IT機器の調達業者の選定や調達オペレーションのモニタリング、後任スタッフの採用など、本業であるITエンジニアの枠を超えた領域にまで、自身の業務を拡大して取り組む必要性を強く感じるようになった。

 これらの中には、彼が本業で全く経験したことがない分野も多く含まれていた。そのため、このようなことまで自分が取り組んでしまって良いのか、本当に自分にできるのかという強い不安に苛まれた。

 しかし、留職先で生き生きと活躍する障碍者たちを目の当たりにする中で、「彼らの生活を守りたい、多くの障碍者に団体のサービスを届けたい」という思いが強まり、使命感が不安に打ち克った。

 自分の知識や経験の及ばない分野は、本業でこれらの業務に従事している会社の同僚や後輩にヒアリングを重ねて補い、粘り強く取り組んだ結果、最終的に留職先から感謝状を贈られるほどの成果を成し遂げた。