ステップ1: 先生モード

 現地活動のスタート当初、留職者の多くは、自分がこれまで本業で培ってきたスキルや経験を使えば現地の課題をある程度は解決出来る筈だ、自分の力で現地の課題を解決して「あげよう」というマインドセットである。

 この状態では、「自分の課題解決能力」≧「認識している課題」である。これを便宜上、「先生モード」と呼ばせて頂く。

 ステップ2: 未熟さへの気づき

 活動が進んで、現地の社会課題や団体の経営課題に対する理解が深まるにつれ、留職者は、現実の課題が「先生モード」で認識していたよりもはるかに大きく、手持ちのスキル・経験のみでは到底太刀打ちできないことを痛感する。

 そして、目の前の課題を解決するためには、自分にも大きな変化が必要だということに気づく。これが、次のステップ「未熟さへの気づき」である。

 ステップ3: 2つの感情の間での葛藤

「未熟さへの気づき」を経た留職者がぶつかるのが、「自分のあり方を変えてまでして、本当に目の前の課題にコミットするか否か」という葛藤だ。

 留職先は、留職者を研修生としてではなく、団体の事業を加速させるためのプロフェッショナルとして捉えており、留職者に求めるコミットメントと期待値は非常に大きい。そして留職者の目の前には、深刻な社会課題の現場が広がっている。

 こうした中で、自分がやらねば誰がやるんだという使命感、留職先や現地の人々の期待に応えたいという責任感、折角ここまで来たのだからどんな困難も乗り越えてみせるという覚悟などが、留職者の心中に去来する。

 しかし、自分のあり方を変えてまで、圧倒的に大きな課題に挑戦することには、強い不安・恐怖がつきまとう。踏み出すことへの不安。もし失敗したら周囲からの自分への信頼が失われてしまうのではないかという恐怖。遭遇するであろう様々な困難に対する躊躇。これらもまた、留職者の心中に去来する。

 さらに踏み込むべきか、現状に留まるべきか。2つの感情の葛藤で、留職者の心は激しく揺れ動く。

 ステップ4:行動への踏み切り

 葛藤の結果、使命感・責任感・覚悟が不安・恐怖に打ち克つと、「自分事化」が成立し、コンフォートゾーンを超えたチャレンジに踏み出す。

 一方、不安・恐怖が使命感・責任感・覚悟に勝ると、「自分事化」は成立しない。この場合、留職者は既存の能力の範囲で課題に取り組むことに留まる。スキルや経験の豊富な留職者であれば、それでも留職先にある程度貢献することはできるが、自分のあり方は変わらないままである。

「自分事化」に至る4ステップ