デジタルSCMやハイパーBPOで
効率化を図る

――デジタル・ターンアラウンド・マネジメントでは、どうのようにして減収減益からの脱却を図るのでしょうか。

長谷部 1~2期の減収減益から脱却するには、原価や販管費の削減、キャッシュフローの改善、売上高拡大・粗利改善を速やかに行うことが重要なポイントになります。

 具体的には、年々増大する物流費に関しては、デジタルSCMというソリューションを使い、何十万、何百万通りある物流経路をシミュレーションして最適な路線設計と、それに基づいたトラックの配備や運転手の手配、倉庫での荷役手配などを行うことによって大きなコスト削減効果を創出できます。

 間接コストに関しては、「ハイパーBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という改善手法があります。固定費として重くのしかかっている間接部門の業務をBPOとして一度外に出し、業務を見直して元に戻すことで大幅な工数削減を実現できます。オペレーションの効率化には、デジタル・トランスフォーメーションやAI(人工知能)、ロボティクスの仕組みを多く導入することで、100人でやっていた業務を50人に削減するといったことが可能になります。

 売上高に関しても、ECで売上高を伸ばすことによって利益率が大きく改善することが分かっており、短期間で迅速に効果を発現させる手法が存在します。例えば、ECと相性が良くないとされてきたアパレルでもEC売上高比率が10%を超える企業が数多くあり、ECの強化によって売り上げが伸び、利益率も改善しています。

――物流のデジタル活用はどのように進みそうですか。

上野 3つの段階に分けられるでしょう。第1段階は、EC企業等との共同配送による効率化です。同じB2Cの企業であれば、物流コストをシェアすることができます。

 第2段階は、先ほど長谷部がお話したデジタルSCMを活用した物流ネットワークの最適化です。何百万通りもある物流経路を瞬時にシミュレーションし、毎日、最適なルートを設定できます。

 第3段階は、長期的な視点に立った自動運転による輸送ですね。技術的な課題も多々ありますが、少なくとも近い将来、高速道路で隊列を組んでトラックを走らせる輸送は実現するでしょう。長距離輸送はこうした自動運転を利用し、宅配は宅配業者に委託するといった方法が考えられます。

 1社単独で物流ネットワークを構築しようとは思わないほうがいい。コストを抑えるために、デジタル企業の技術やノウハウを積極的に活用していくべきです。