2020年以降、日本も景気後退期に入り、業績が低迷する企業が増えてターンアラウンド・マネジメント(経営立て直し)のニーズが顕在化してくると予測される。受け身の姿勢で嵐が過ぎ去るのをじっと待っているだけでは手遅れになりかねない。企業が成長を続けるには、自らパラダイムの転換を図り、積極的に次の一手を打つ姿勢が望まれる。アクセンチュアが提案するのは、自社内に暫定経営組織を立ち上げ、デジタル技術によってオペレーションを改革・改善し、経営立て直しをリードする「デジタル・ターンアラウンド・マネジャー」の活用だ。

2020年以降、日本も景気後退期に!?

上野正雄
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
M&A マネジング・ディレクター

リテール・運輸・物流・通信・PEファンド等の業界において、M&Aや、ターンアラウンドを数多く経験。航空会社やPEファンドの投資先に暫定経営陣として参画し、Value Creation/EBITDA改善を実現した経験多数。航空会社の再生では路線撤退や資産売却などを統括した。近年はデジタルSCMやデジタル・トランスフォーメーション等も推進。BCG、 AlixPartners等を経て現職。

――今後、米国と日本が景気後退期を迎えるといわれていますが、その理由は何でしょう?

上野 2019年3月、米国で景気後退の兆候とされる「逆イールドカーブ」が発生しました。過去の経験則からすると近い将来、景気後退局面に入る可能性が高いでしょう。長期金利が短期金利を下回る長短逆転現象(逆イールドカーブ)が起きるのは、多くの投資家が将来の景気後退を予想し、金融緩和を見込んで短期国債を売り、長期国債を買うからです。すると、債券の利回りと価格は逆の動きとなるため、「短期国債が売られる→価格低下→短期金利上昇」「長期国債が買われる→価格上昇→長期金利低下」となるわけです。

 こうした状況下では、銀行の貸出金利が上がるため、企業は設備投資を控えるようになる一方、消費者の借入金利も上昇するため、個人消費も落ち込みます。そして徐々に景気が低迷していくという流れになりがちです。したがって、2020年にはリセッション入りする可能性があると言えます。

長谷部 日本においても、米国経済の低迷や2019年10月の消費税増税の影響もあり、2020年以降、景気が後退する可能性があります。ご存知のように、景気動向に大きく左右される不動産販売価格はすでに都市圏でピークアウトしています。

コストアップを価格転嫁できない
企業が増える

――次の景気後退は、これまでと何が異なるのでしょうか。

上野 従来のような構造不況ではなく、ディスラプターの台頭により業界のプロフィットプールに変化が起こり、旧来の企業・事業のコスト構造の悪化が主な要因となります。今後、建設・不動産・物流業界の人材不足がますます深刻化し、建築費・賃貸料・物流費がさらに高騰するでしょう。例えば、小売・消費財・電機メーカーなどB2C企業は、物流費の負担が増え、収益を圧迫しています。すでに小売業では、物流費がこの3年間で倍増したという企業もあります。

 結果として、B2C企業は最終消費者に価格転嫁を余儀なくされますが、消費者にとっては値上げと消費増税のダブルパンチとなり、需要が一気に冷え込む可能性があります。もともと製品やサービスに競争力がある企業は問題ありませんが、競争力がなく、価格転嫁できない企業はPL(損益計算書)やキャッシュフローが悪化し、業績不振、さらには倒産(事業再生)という事態にも陥りかねません。

 一方で、アマゾンのようなEC企業は業績拡大・成長を続け、利益がそこに集中する傾向が強まります。そうしたプラットフォーマーには顧客情報が集まるため、より付加価値の高いサービスを提供できるようになり、ますます利益を独占するようになる。業績不振に苦しむ日本企業とのギャップはよりいっそう深まるでしょう。