リーダーシップを急成長させる方法論

「異質」かつ「成果が厳しく求められる」環境、そしてこれらの強烈な原体験をもってしても、すべての留職者のリーダーシップが飛躍的に成長したわけではない。成果にばらつきが大きいのは、事実である。

 大きく成長したケースとそうではなかったケースを隔てる要因は何か。結果を左右する何か共通の変数があるのだろうか。そして、どうすれば、大きく成長するケースの再現性を高められるのだろうか。

 このことを探るために、クロスフィールズは2018年、組織・人事コンサルタントの伊賀泰代氏(元マッキンゼー・アンド・カンパニーの人材育成マネジャー、『採用基準』『生産性』の著者)に共同分析・監修を引き受けて頂き、それまでに実施した全150件の留職プログラムの分析を行った。

 この分析により、留職プログラムの中で、リーダーシップが成長しやすい性格特性と、成長しにくい性格特性があることや、性格特性ごとの成長トリガーと阻害要因が見えてきた。

 また、性格特性ごとの成長確度、再現性を高めるためのフォローの仕方やプログラム設計のあり方についても、多くの知見が得られた。

 その結果、下図の通り、「留職プログラムが現地で提供する環境と原体験」、「クロスフィールズの関わり方」、「過去150人の留職者のデータ分析」という3つの要素の関係性を理解し、それらを有効にかけ合わせることで、あらゆるケースで、リーダーシップの成長幅を強め、確度を高めるための施策を打つことができるようになってきた。このことが、留職プログラムの人材育成施策における最大の強みだと考えている。

 これ以降の6回の連載では、分析結果とそこから見えてきたことをお伝えしたい。それにより、留職プログラムのみならず、様々なリーダー育成施策における成功確度が高まり、より多くのリーダーシップが発揮されることに寄与できれば幸いである。

新しいリーダーシップ開発論
[第1回]「留職プログラム」が切り拓くリーダーシップ

 

中山 慎太郎
NPO法人 クロスフィールズ 副代表。2006年一橋大学法学部卒業。国際協力銀行、国際協力機構、三菱商事株式会社にて特に中南米のインフラ開発に従事後、2014年にクロスフィールズ参画。留職プログラムのプロジェクトマネージャ―、留職事業の事業統括を経て、経営管理部門と法人営業部門の事業統括を務める。2018年6月に副代表に就任。

小沼 大地
NPO法人 クロスフィールズ 共同創業者・代表理事。一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊として中東シリアで活動した後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて勤務。2011年5月、NPO法人クロスフィールズを創業。2011年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出、2016年に『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』の「未来をつくるU-40経営者20人」に選出される。国際協力NGOセンター(JANIC)の理事、新公益連盟の理事も務める。著書に『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)。


NPO法人クロスフィールズ
2011年5月創業。「すべての人が「働くこと」を通じて、想い・情熱を実現することのできる世界」「企業・行政・NPOがパートナーとなり、次々と社会の課題を解決している世界」の実現をビジョンに掲げ、留職プログラムを旗艦事業として、国内外の社会課題の現場と企業の間に、枠を超えた橋を架ける様々なプログラムを展開、そこで生まれる挑戦への伴走を続けている。