母親が育児、父親は仕事というステレオタイプは見直され始めている。父親を対象にした育児休暇制度の提供や拡充を進める企業も増えてきた。だが、どれだけ制度が整備されようとも、それを実際に活用できている人は少ない。父親が育児に励むことへの偏見や圧力は根強いのだ。筆者は、そうした社会の逆風に負けることなく、父親が正々堂々と育児休暇を取得するための4つのアプローチを提案する。


 父親の育児休暇の推進派にとって、近年は朗報がいくつかあった。アマゾンやネットフリックス、マイクロソフトといった有名企業が、父親の育休制度を創設あるいは拡充しているのだ。

 米国人材マネジメント協会(SHRM)によれば、父親を対象に何らかの有給休暇を提供している企業や組織の割合は、2~3年前の21%から上昇し、現在は29%だ。また、有給家族休暇保険制度を創設する州も、着実に増えている。この制度では、新たに父親になった男性の休暇も対象になっている。

 だが全体として見れば、状況は厳しい。企業や組織の71%が父親の育児休暇を提供していないという現状は、喜ばしいことなど一つもない。従業員1万人以上の大企業でさえ、ほぼ半数(48%)が父親の育児休暇を設けていない。

 さらに悪いことに、父親に育児休暇を提供していたとしても、その制度を利用しないよう、男性に大変なプレッシャーをかけるケースが少なくない。新たに父親になった男性の中には、育児休暇を取ったために解雇されたり、降格されたり、仕事の機会を失ったりした人もいる。

 私の著書All Inには、その実例が満載だ。また子育て中の人が、逸話をいろいろと私に打ち明けてくれる。

 最近聞いた話では、フロリダ州在住の弁護士が上司にこう言われたという。「父親の育児休暇は6週間ある。君は取らないよな」。カリフォルニア州在住の広報担当エグゼクティブの夫は、「なぜ君の奥さんは、子育てをしないんだ」と上司に詰問されたという。

 ダヴメン+ケア(私の提携ブランドである)とジェンダー平等を推進するNGOプロムンド(Promundo)のために私が協力した共同調査では、父親の73%が「職場からのサポートはほとんどない」と回答しているという結果が出た。21%の父親は、育児休暇をフルに使うと仕事を失うのではないかと恐れている。「我々はいまだに2つの伝統的なステレオタイプ、すなわち、男性が主な稼ぎ手であり、女性が主に子育てを担当するという固定観念に囚われている」と、同調査は結論づけた。

 この男女のステレオタイプは、人気TVドラマ『マッドメン』の舞台となっている1960年代の名残であり、すべての人に損害を与えている。

 女性は、キャリアを阻まれる。ステレオタイプに縛られ、家庭における子育ての担い手となるしかないからだ。子どもは、両親と過ごす時間を持てない。企業も損害を被っている。優秀な男性社員も女性社員も失うからだ。EYの調査結果によれば、家族と過ごす時間を増やすために転職する傾向は、男性のほうが女性よりもはるかに高い。

 父親の育児休暇に対する逆風に立ち向かうのは、容易でない。生まれたばかりの子どもがいると、家庭はてんてこ舞いだ。しかも、たいていの場合は家計も厳しい。したがって、できることなら仕事やキャリアを失うような事態は、父親としては避けたいところだ。

 だが、このような状況に陥っている男性には、ぜひ自分だけでないことを知ってもらいたい。

 公正な育児休暇を求めて、私がCNN/タイムワーナーに対して法的闘争を開始すると、全米のみならず、世界中の人々が公の場でサポートを表明してくれた。多数の同僚たちも私の味方であると公言し、報道スタジオでハグしてくれた。どれもが、大きな励みとなった(最終的に、会社側は方針を転換し、双方にとってウィン・ウィンの結果となった)。

 したがって、女性と男性、企業、社会全体、そして何よりも両親と過ごす時間を必要としている子どもたちのために、この闘いを挑むには結束が必要だ。

 同じような状況にあることに気づいた同志の父親たちのために、取るべき対策を以下に紹介する。