チーム内の生産的な対立を常態化するには、各役割固有の価値と、それらの役割の間に必要となる緊張関係を、明確に表現する訓練をすればよい。

 そのやり方を説明しよう。円を描き、それをチーム内の各役割の数に合わせて分割する。そして、各役割に次のような問いを投げかけるとよい。

(1)このチームで、この役割が持つ固有の価値は何か。担当者は、他の人が気に留めていないどんなことに注意を払うべきか。この役割がなければチームは何を失うのか。

(2)この役割は、どの利害関係者に焦点を当てているか。誰の役に立つのか。誰によって成功を左右されるのか。

(3)チームでの議論において、この役割は主にどんな緊張関係をもたらすのか。この役割を担う人に課せられているどんな発言で、他のメンバーは頻繁に苛立つのか。

 各チームメンバーに対するこれらの問いかけへの答えを、円の各枠に書き込もう。リーダーは作業を進めながら、異なる役割の間には緊張関係が「必要」なのだと強調しよう。

 チームで解決に行き詰まっている議論の種を例に挙げながら、各ポイントを説明するとよい。この対立作用に関する理解不足が、チーム内でいかに多くの口論と不快感を生じさせてきたのか――。メンバーはこのことに気づき始めると、顔を輝かせるはずだ。ここに挙げられた多様な観点を、今後はリーダーの意思決定の基準として用いることを伝えよう。

 この訓練を実施し、すべての情報が提示されれば、チームはたいていの場合において、意思決定に向けて協力できるようになるだろう。それができない場合の最良の方法は、チームリーダーがあらゆる観点を考慮して決定を担うことだ。

 この訓練を通して得られる気づきが、たくさんの素晴らしい議論を巻き起こすことになるはずだ。それを利用して、次のような問題に対処しよう。

 みずからの狭い考え方を強く主張しすぎる人。自身の役割固有の価値をもはや提供しておらず、その結果チームを何らかの形で危険にさらしているメンバー。担当者が複数いる役割が、1人しかいない役割を圧迫していることで生じるチーム内の不均衡。チーム全体の最善の利益と合致しない業績目標。

 意識を高めて言葉を共有すれば、それまで個人間の摩擦だと考えていた事柄の多くが、実際には役割に基づいた、きわめて健全な緊張関係だったことに、チームは気づき始めるだろう。対立と緊張関係は、職能横断的チームの対極にあるものではなく、大きなメリットの1つ(または、私の好きな表現で言うなら、対立はチームの欠陥ではなく特徴)なのだと気づくはずだ。

 リーダーは組織のために、チームを対立の負債から救い出さなければならない。対立管理のスキルを訓練する前に、対立とは生産的で役割に基づいた緊張関係だと捉え、それを常態化することから始めよう。そうすることで、純粋な個人間の対立の頻度を対処可能なレベルまで減らすことができる。そして、対立管理スキルの訓練も順調に進む見込みが高まるだろう。


HBR.ORG原文:An Exercise to Help Your Team Feel More Comfortable with Conflict, March 14, 2019.

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リアン・デイビー(Liane Davey)
チームの能力向上を支援するアドバイザー、講演者。著書にThe Good FightYou First、共著書にLeadership Solutionsがある。ツイッターは@LianeDavey