そこで必要となるのは、対立をめぐる考え方と文化に注目した、より包括的な解決策である。日々生じる問題が、すべての関係者にとってより対処しやすくなるよう、私は「対立を常態化させる」方法の研究にこの10年間取り組んできた。

 最も効果があった方法の1つは、チームワークに関する言葉と比喩のあり方に直結するものだ。問題は、チームワークを和気あいあいとした楽しい活動のように表す誤った比喩である。

 私のお気に入り(つまり、私を苛立たせるもの)は、穏やかな青い水面に規則正しいさざ波を立てながら、ボートを漕ぐクルーたちのポスターだ。会議室の壁にそのようなポスターが貼ってある会社ならば、チームが対立の問題を抱えているとしても驚くに値しない。なぜなら、優れたチームプレーヤーは同じ方向に進む、というメッセージを意味するからだ。

 ボートクルーの例え話をもう少し発展させてみよう。あなたがチームのメンバーとして期待されているのは、全員が「同じボートに」乗って「同じ方向に漕ぐ」ことである場合、誰かがあなたに反対すれば当然ながら摩擦が生じる。「私の意見に賛成しない、このひねくれ者は誰だ」ということになる。摩擦が起きると、人は自分の意見に固執するか、あきらめる。いずれも、きわめて非生産的な対立の形だ。

 生産的な対立を起こすには、「チームには緊張関係があるものだ(また、あるべきだ)」という期待感をつくる必要がある。望ましく健全で生産的な緊張関係とはどういうものかを、リーダーがチームに明確に説明できれば、メンバーは「考え方の多様性」を「機能不全につながるもの」と解釈せずに済むようになる。

 たとえば、営業部門とオペレーション部門は互いに緊張関係に「あるべき」だと理解させるのだ。両者が互いに不満を抱いていなければ、誰かの努力が足りていないことになる。

 営業部門は顧客のために、斬新で差別化されたソリューションを追求すべきだ。オペレーション部門は、効率を高めるために一貫性を生み出そうとする。両者の間には自然で健全な緊張関係が存在するわけだ。同様に、研究部門とマーケティング部門、本社と現場などの間にも緊張関係がある。