もっとも、私たちが行った研究の文脈も考慮に入れる必要がある。

 この実験結果は、第一印象や最初の反応についてだけ言えることで、当てはまるのは就職の面接やクライアントとの最初の会合などである。たとえば女性でも、朝早く出社し、遅くまで仕事し、仕事への強い熱意を示しているという評判のある人なら、リーダーシップの素質を評価されるとき、こうした他の情報のおかげで否定的な結果が出ないかもしれない。

 ただ残念ながら、女性のリーダーがふつう以上に仕事への献身を示せば否定的な影響を打ち消せるとしても、ふつうよりも高い能力規準を満たさなければユーモアの使用の恩恵は受けられないということでもある。

 とはいえ、女性はユーモアを控えるべきだと言っているのではない。むしろ、組織やマネジャーがこの先入観に自覚的になるべきである。研究によると、平等を重んじる人が偏見に結びつくような状況について学ぶと、より注意深くなり、偏見に流されにくくなる。

 私たちは、ユーモアには一般的に肯定的な側面があるが、ジェンダーによって異なる解釈をされることを明らかにした。これを通して、職場で誰をおもしろいと思うか、それはどうしてなのかを、もう一度、考えていただければ幸いである。

 そうすれば最終的に、女性がもっとのびのびと仕事でユーモアを使うようになり、組織はユーモアのポジティブな成果を、もっと享受するようになるだろう。


HBR.ORG原文:Making Jokes During a Presentation Helps Men But Hurts Women, March 11, 2019.

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ジョナサン・エバンズ (Jonathan Evans)
アリゾナ大学博士号取得候補者。2002年、ブリガムヤング大学で機械工学の学士号を取得し、2011年、テキサス大学オースティン校で経営学修士号を取得。リーダーシップと印象管理を研究。

ジェレル・スローター(Jerel Slaughter)
2000年、ボーリング・グリーン州立大学で産業組織心理学の博士号取得。現在、アリゾナ大学エラー・カレッジ・オブ・マネジメント教授。管理・組織学部の主任を務める。研究対象は、従業員の募集と選抜、組織内の逸脱・非倫理的行動。

アレクサンダー・エリス(Aleksander Ellis) 
2003年、ミシガン州立大学で産業組織心理学の博士号取得。現在、アリゾナ大学エラー・カレッジ・オブ・マネジメント教授。研究対象は主に、組織のチームワークに特有の性質。他にも、ジェンダーや人種によるステレオタイプの影響など、組織行動の多岐にわたる領域に関心がある。

ジェシー・リビン(Jessi Rivin) 
コロラド大学ボルダー校リーズ・スクール・オブ・ビジネスの博士課程1年で、専攻は組織行動学。2018年にアリゾナ大学で心理学および経営管理学の学士号を取得。リーダーシップとポジティブ組織論も研究対象とする。