研究に当たって私たちはまず、ジェンダーのステレオタイプと仕事におけるユーモアに対する異なる解釈が、相互にどう影響し合うのか考えた。ジェンダーのステレオタイプ、つまり男性や女性がどう振る舞うべきかという一般的な先入観は長年、職場におけるジェンダーの不平等の根源とされてきた。そこで私たちは、ステレオタイプが従業員のユーモアの解釈にも影響するのではないかと考えた。

 具体的には、仕事でのユーモアの活用に関する2種類の受け止め方を検討した。

 その1つは、ユーモアは仕事ぶりを高める機能であるというものである。雰囲気を明るくし、困難な問題をそれほど脅威のないものに見せ、前向きな姿勢と健全な交流を促すことによって、仕事を円滑にする道具だ。

 もう1つは、ユーモアは混乱をもたらすというとらえ方である。ユーモアは仕事の重大さから目をそらせるものであり、仕事への熱意がないことの表れであると受け止められる。楽しんだり楽しませたりすることに興味があると見なされるためだ。

 私たちは、ユーモアを機能と解釈するか混乱と解釈するかは、ユーモアを発した人の性別に影響されるのではないかと直感した。なぜだろうか。

 男性は高い業績を志向し、野心があり、仕事の達成に力を注ぐものだというステレオタイプがある。この期待はユーモアを機能として解釈することとぴったり合致する。

 一方、女性のステレオタイプは、業績への志向や野心があまり強くないということに加えて、家庭での責任がより大きいという期待を含んでいる。仕事と家庭の両方に時間を捧げることはとても難しいので、女性はあまり仕事に力を注がないという認識に結びつく。男性のステレオタイプと異なり、女性のステレオタイプはユーモアを混乱と解釈することとより合致する。

 この合致には重要な意味がある。というのも、これまでの研究から、人にはみずからが抱く期待に従って他人の行動を解釈する傾向があることが、明らか担っているからである。そこで私たちは、男性と女性は同じユーモアを使用しても別の解釈をされると予想した。