(1)意図的に女性のメンティを求めよう

 メンターは、指導に当たるプロテジェたちの多様性を意識して、育成に取り組もう。

 自分がいま担当しているプロテジェたちは、どれほど多様だろうか。女性より男性が多いのではないか。イエスなら、それはなぜか。何を壁だと感じているのか。デビッド・クラターバックによるメンタリング研究から、率直な対話をすること、判断を差し控えること、また、共通の興味や価値を見出すことといった戦略が効果的であることがわかっている。

 こうした「内面的関係の課題」が意味するのは、異種の相手と良好な関係を構築するためには、気まずい思いを乗り越える必要があるかもしれない、ということだ。

 私たちは、自分と類似した他者に自然と引き寄せられる。社会学でいう「ホモフィリー(同種親和性)」という概念である。つまり、自分と似た誰かとのつながりを求める傾向があるのだ。

 これはまた、若い男性従業員は、メンターとしてより地位の高い、年長の男性従業員に近づきやすいことを意味している。したがってメンターとしては、自分のもとへ自主的にやってくる人以外にも、積極的にメンタリングの機会を与えるよう努力することが大切である。

(2)メンタリングの方法の透明性を高めよう

 多様なメンタリングの鍵となるのが、人間関係の範囲と、そのプロフェッショナルな性質の透明性だ。

 成長を促す話は、どこですべきか。自分の執務室か、会議室か、それともクライアントのもとに向かう道中か。メンタリング時における自分の話の特徴をよく考え、自分の言葉が最もインパクトを持つタイミングと背景を検討してみよう。

 2人きりでのディナーが不適切だと思えるなら、それはなぜか、自問してみよう。若手の男性プロテジェと2人きりでディナーの席につくだろうか。ディナーではなくランチにするのはいいが、その場合は、ほかのプロテジェたちの扱いも同様にすべきである。

 このように「外面的関係の課題」に関しては、同僚にもきちんと認識してもらう必要がある。配偶者や恋人、子ども、同僚とのコミュニティ活動など、自身のプライベートな情報をシェアすることで、誰かの評判やキャリアを意図せず害する可能性を軽減できる。

 地位の高い年長の男性が旗振り役となり、男性メンターと女性プロテジェの関係が発展し、成功することが規範であると誰もが認識できるような、プロフェッショナルな環境づくりが必須である。

(3)適切な質問ができるよう、共感を持って話に耳を傾けよう

 優れたメンターは、チャンスを見出し、扉を開き、難題を課してメンティの学習と成長を後押しする。そのためには、質問をし、あとは徹底して聞き役に回り、メンティが必要としていることを理解し、肯定し、その妥当性を確認することだ。異性へのメンタリングでは、相手について学び、共感を示す努力を怠らないことが重要である。

 人間関係における共感には、認知的、感情的側面の両面があるが、それは頭と心の両方を用いて、相手の話に注意を向けなければならないことを意味する。

 また、共感を持って話を聞くには、自分の感情的反応や不快感を自覚し、処理することも必要だ。あなたに共感してもらうことで、メンティはポジティブな自己イメージを高めることができ、自己開示を促すことになる。それが信頼関係を築き、特別な経験を共にすることが可能になる。

 こうしたスキルを磨くことで、多様な人々をメンタリングできるうえ、どのような人とでも良好な育成関係を築く、あなた自身の能力も高まる。

(4)ジェンダー問題があるという事実を認めよう

 あなたのプロテジェは、自分が女性であるという事実が自身のキャリアに影響を及ぼす要因になり得ると、おそらく理解しているだろう。なにしろ、シェリル・サンドバーグの著書『LEAN IN(リーン・イン)』が刊行されて以来、ジェンダーの問題は主要メディアで大々的に取り上げられてきた。

 重要なことは、ジェンダーの問題を理解し、それがあなたの職場における機会に、どのように影響しているかを知ることだ。ジェンダー問題への知識を深めたいなら、HBR誌のいくつかの記事を参照するといいだろう。たとえば、「オフィス調査で明らかになった、職場における男女間格差の実態」もその1つで、この記事内では他のリソースにもリンクされている。

 女性をメンタリングする大きなメリットは、互いの異なる視点や経験を知ることから得られる学びである。そのためプロテジェと話すときは、心をオープンにすることを心がけよう。

 自分のジェンダーがキャリアにインパクトを与えたか、もしそうであるなら、それはどのようなものだったか、プロテジェに聞いてみよう。組織の文化をどのように体験しているか、また、会社の方針や慣例を協力的なものとして体験しているか、彼女に聞いてみよう。あるいは、改善の機会として何があると思うか問うのもいいだろう。

 あなた自身の人脈、組織特有のプロセスや文化の知識を活用し、女性のプロテジェが、キャリア上の課題を前にうまく舵取りできるようサポートしていこう。

(5)スポンサーとして、女性プロテジェを他のスポンサーと積極的に引き合わせよう

 あなたが影響力あるポジションにあるなら、プロテジェの組織内における認知度を上げる方法を探ろう。

 あなたが担う役割の奥深さを体験させ、権威あるリーダーたちに紹介しよう。フォーマルな会議と、くだけた話し合いの両方の場で、地位の高い役職の有能な候補者として彼女の名前を挙げよう。

 女性従業員は、影響力あるスポンサーの後ろ盾があれば、より難しい課題(ストレッチ・アサインメント)に挑戦したいと、上司にみずから申し出る可能性が高まる。そのスポンサー役を買って出よう。プロテジェの潜在的な力を理解し、1人では見過ごしがちな、リーダーとなるチャンスを発掘する手助けができるよう、プロテジェとの意義ある関係を構築することに時間を割こう。

 他の男性リーダーにも、スポンサーを務めるプロテジェの多様化を奨励しよう。そうすれば、役職任命の話が浮上したとき、複数の女性を昇進の候補として検討できるようになる。影響力のあるリーダーが、多様なプロテジェたちを育てていることが規範となれば、それが企業文化にも反映されていくだろう。

 女性と男性の双方をメンタリングすることは、時間とリソースの投資に見合ったメリットがある。メンタリングにおける人間関係は、メンターとプロテジェ双方に利益をもたらすこともわかっている。さらに、女性の昇進やスポンサーを公に支持する男性は、より優れた年度末評価を受け、多様性の擁護者として認知されることが、デイビッド・スミスとブラッド・ジョンソンによる軍隊を対象とした研究によって明らかになっている。

 残念ながら、女性にメンタリングを行う地位の高い女性は、他と比較して低い評価を受け、えこひいきしていると見られる可能性がある。これこそ、ジェンダー間に根深い不平等を浮き彫りにするものであり、地位の高い男性たちがメンタリングという重要な仕事に力を入れることは、緊急の課題なのである。


HBR.ORG原文:Advice for Men Who Are Nervous About Mentoring Women, March 15, 2019.

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ウェンディー・マーフィー(Wendy Murphy)
バブソン大学経営学准教授。共著にStrategic Relationships at Workがある。ツイッター@wcmurphyでも発信している。