口実に対し、人はどのように反応するか

 私の研究ではまず、ツイッターユーザー間の会話を分析した。2018年の1週間、私は特定のユーザーに宛てられた「お金がない」あるいは「時間がない」というフレーズを記載したツイートを抽出した。

 その結果、データセットとして合計2310件のツイートが集まった。その内訳は、時間に限りがあることに関するツイートのほうが、僅差で半数を上回った。

 ツイートを受信したユーザーの反応として考えられる1つの方法は、そのツイートに「いいね」と付けることだ。私の分析結果によれば、時間がないことに関するツイートに「いいね」が付く確率は、お金がないことに関するツイートよりも著しく低かった。フォロワーの数やツイッターの利用頻度など他の要因をコントロールしても、この影響が確認された。

 上記の結果から、限られた金と時間に関して聞いた反応は、話題が金であるか、時間であるかによって異なるという、初期の証拠が得られた。だが、ツイッターでの会話は面識がなく、見知らぬ人同士でも成立する。それでは、友人や同僚との間ではどうなるのか。

 これを検証するために、327組の結婚直前のカップルをサンプルに採用した。米国在住で、結婚式を予定しており、すでに招待状を出したカップルだ。

 この実験参加者たちに「十分なお金がない」あるいは「十分な時間がない」という理由で、出席を断った招待客が何人いたかを尋ねた。参加者の回答を平均すると、誘いを断る口実として金を挙げていた事例が2件、時間を挙げていたのが2件で、どちらの口実も同じ頻度で使われていることが示唆された(他の理由を書く人もいた)。

 金または時間を理由に、直近で誘いを断ってきた相手への親近感についても、上記のカップルに尋ねた。断られた前後で親近感に変化が生じるかを知りたかったのだ。

 参加者の回答によれば、欠席通知を受け取る前、どの招待客に対しても同じくらい親近感を抱いていたが、知らせを受けた後は、限られた金を理由に挙げた招待客よりも、限られた時間を理由に挙げた招待客への親近感が著しく低下したという。

 時間がないことを口実に何かを断れば、断った当人への親近感がなぜ低下するのか。これを検証するために、300人の働く成人をサンプルに採用し、「友人を外食に誘ったが、断られた」状況を想定するよう指示した。

 参加者の一部には、友人が多忙を口実にした(「ごめん、時間がないんだ」)と知らせ、他の参加者には、友人が手元資金を口実にした(「ごめん、お金がないんだ」)と知らせ、別の参加者には理由をいっさい伝えなかった。

 それから、参加者たちにこう尋ねた。「対応を聞いたあと、友人への親近感に変化はあったか」「友人にはよい口実があると信頼し、信じるか」。また、次の質問もした。「一般的に、時間と金の使い方をどの程度コントロールできると考えるか」

 参加者が友人に抱いている親近感は、口実をまったく知らされない場合と比較して、時間を口実にした場合は低下した一方、金を口実にした場合は著しく親近感が増すことが判明した。金の口実は、時間の口実や口実がいっさいない場合よりもはるかに信頼に値すると、参加者は感じていた。その理由は1つには、口実として挙げている状況に対して、友人が個人的にコントロールできる可能性が相対的に低いと、参加者が考えているからだった。

 人は一般的に、「時間は比較的コントロールしやすいはずだから、本当にしたいことであれば、何としてもそれをする時間を取れるはずだ」と考えるようだ。したがって、相手が時間のないことを口実にする場合は、その口実に不信感を抱く可能性が高まり、これが結局のところ、相手への親近感に影響を及ぼすのだ。