●創造性

 競合がひしめき変化し続ける今日のビジネス環境の中で、強い存在感を築き競争していくには、雑音から抜きん出るための新しい革新的なアイデアが必要だ。私の仕事は、見込み客の関心を引き付ける新たな方法を探し続けることである。だが、目標や成果指標や締切りで頭がいっぱいになっていると、真に独創的なアイデアを思いつくのは難しいこともある。

 クリエイティブな趣味は、仕事上のそうした縛りから人を解放してくれる。音楽、アート、書き物、料理など何であれ、まずは頭の中が真っさらな状態から始まるものだ。そして、シンプルにこう考える。「自分が求めている感情を呼び起こすために、どんなものをつくろうかな」

 このような精神的余裕を自分に与え、感情・感覚に焦点を当てれば、創造力を再び目覚めさせることは当然のように可能だ。神経科学者の発見によれば、脳内で論理的思考に関連する部位と、感情に関連する部位は異なっている。創造性をせき止めている門を開くには、この両方を働かせなくてはならないのだ。

 ●視点

 創造性を発揮するプロセスにおいて最もやっかいな課題の1つは、自分のアイデアは他者にどう受け止められるかを考え抜くことである。しかし、人はクリエイティブな趣味に取り組んでいるときには、常にそのことを考えている。陶芸家は、花瓶を手にした人がどのような反応をするか想像する。ミステリー作家は、疑うことなく読み進めてきた読者が予想外の展開に驚くだろうかと考える。

 私が仕事を離れて曲をつくるときは、この視点を取り戻す。曲を初めて聞いた人がどう反応するかを考え続ける。世界を他者の目を通して見る(または他者の耳を通して聞く)ために、全力を尽くす。そうすると、この意識を保ったまま仕事に戻ることができるのだ。

 ●自信

 仕事で難しい課題に直面して行き詰まると、自分は有効なソリューションを見出せないのではないか、と疑い始めてしまうこともある。創造力に対する自信は簡単に失われるのだ。

 しかし私の場合、1時間ギターを弾き続け、完璧に弾きこなした後は、気分がすっきりする。脳がこの種の満足感を必要としていたことが分かる。そして、この自信を保ったまま、再びプロジェクトに向き合うのである。

 実は、私のような人間は、研究対象になっていたようだ。

 ある研究結果によれば、「創造的な活動は、リカバリー体験(職場のストレスからの回復をもたらす体験。熟達、コントロール、リラックスなど)、および高パフォーマンスにつながる成果指標(仕事上の創造性や、求められている役割以上の行動をすること)と正の相関がある」。実際、「就業時間外に行う創造的な活動には、余暇的な活動も含まれ、就労者にとって優れた仕事をするための重要な源泉になる」という。

 したがってプロフェッショナルの皆さんには、創造的な趣味を続ける時間を取ることを強くお勧めする。長い時間をかける必要はない。ある研究では、アート作品の作成に45分費やせば、課題を達成する自信や能力の向上につながることがわかっている。

 また、企業として従業員の趣味を歓迎することもお勧めしたい。

 ザッポスは従業員のアート作品を壁に掲げ、各自のデスクを好きに飾ることを奨励している。従業員によるタレント・ショーを開催している企業もある。そのような才能を持ち合わせていない従業員にも、何かしら創造的で楽しいと感じられることをするよう奨励すべきだ。また一部のCEOは、率先して自分の趣味に時間を費やし、範を示している。

 なお、創造的な趣味に費やせる時間が少しでもできたら、罪悪感を抱かずに取り組もう。結局は、皆が得をするのだから。


HBR.ORG原文:Why You Should Work Less and Spend More Time on Hobbies, February 07, 2019.

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ガエタノ・ディナルディ(Gaetano DiNardi)
クラウドの通信ソリューションを提供するネクスティーバのデマンド・ジェネレーション担当ディレクター。