「プッシュ」の要因に関して、人事リーダーたちは、以下に示す「LAMP」のフレームワークを利用することで、組織全体に人材指標をより効果的に示すことができる。

 ●ロジック(Logic)

 人材と戦略的な成功には密接な結びつきがあることを、明確に伝えるとよい。同時に、個人および組織の行動を予測する原則と条件を明確にしよう。たとえば、ロジックを改善することで、ある仕事の人口統計的構成のトレンドを示すデータを提供するだけでなく、人口統計的な多様性がいかにイノベーションに影響を及ぼすかを予測できる。加えて、人材動向のパイプラインを浮き彫りにして、キャリア発展を妨げる問題点を明らかにすることもできる。

 ●分析(Analytics)

 適切なツールとテクニックを用いて、統計分析や研究デザインなど、正確かつ妥当なインサイトにデータを変換しよう。たとえば、従業員エンゲージメントと仕事のパフォーマンスに因果関係があるかどうかを知るためには、両者のつながりを示す相関関係を分析するだけでは十分でない。パフォーマンスの高い従業員ほどエンゲージメントも高くなるというほど、単純な構図ではないことを確認する必要がある。

 ●対策(Measures)

 データシステムで正確かつ検証済みの数値や指標を計算して、分析のためのインプットとして活用しよう。「ゴミの混入(garbage in)」によって適切かつ高度な分析のクオリティーが低下することは回避したい。

 ●プロセス(Process)

 適切なコミュニケーションチャネルとタイミング、テクニックを活用し、意思決定者がデータのインサイトに基づいて決定を下すよう動機づけを行う。たとえば、従業員管理に関する報告書は分析完了後すぐに配布されることが多いが、それが事業プランニングのセッション中に配布され、エンゲージメントと特定の注目に値する成果(イノベーション、コスト、スピードなど)との関係を示すものであれば、よりインパクトの強いものになる。

 ウェインと私は、人事部門が通常は高度な分析にばかり注目し、より正確で完全な施策を打ち出そうとしていることに気づいた。

 どれほど高度で正確な分析を行っても、それがどさくさに紛れて見失われるような事態は避けたい。そのためには、意思決定者にとって理解可能で妥当な論理的枠組みに分析を組み込むのが一案だ(従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの間にある類似性を示すなど)。あるいはストーリーやアナロジー、身近な例を示すなど、意思決定者が関心を示す方法で分析結果を伝える必要がある。

 私は同僚のエド・ローラーと共同で、2013年と2016年に、米国の人事部門リーダー100人以上を対象に実施した調査結果を比較し、LAMPの要素をすべて実践している人事部が、それぞれの組織で戦略的に重要な役割を果たしていることを発見した。前述の4つのプッシュ要因のバランスを図ることで、人事部門の分析メッセージが、それを必要とする意思決定者に到達する可能性は高くなる。