最大のチャレンジはグローバル化への対応

日置 御社では社会イノベーションやソサエティ5.0などを軸に事業ポートフォリオの整理を大胆に、かつ継続的に進められています。その過程で、事業のグローバル展開も急速に進んでいます。

 それに伴ってコーポレート部門の役割や業務がどんどん複雑化する中で、「攻め」の役割を強化していくには、複雑性を高める要素を意識的に減らすための対策が必要になりますが、一方でグループとしての規律をしっかりと機能させるために「守り」も決しておろそかにできません。

 エグゼクティブのみならず社員一人ひとりのトランジションと、組織としてのトランスフォーメーションがますます重要な課題になってきますね。

西山 最も大きなチャレンジは、やはり事業のグローバル化への対応です。グループとしては売り上げの50%超が海外になりましたし、約30万人の従業員のうち16.5万人が国内、14万人が海外です。

 2018年12月にはスイスのABBからパワーグリッド(電力システム)事業を取得することを発表しましたが、この買収が完了すれば日本人と外国人の比率は完全に逆転します。

 経営トップ層もすでに海外人材の登用がかなり進んできました。グループの中でグローバル化の先頭を走る鉄道BUは、CEOのアリステア・ドーマー以下、経営層の多くが外国人で、戦略機能が集中するイギリスを中心に、イタリアと日本に拠点を置いて事業を展開しています。

 また、日立オートモティブシステムズでは18年4月にスイス出身のブリス・コッホが社長に就任し、社内の報告書や資料はすべて英語になりました。仕事の仕方もどんどんグローバル化していくはずです。

 さらにABBから取得するパワーグリッド事業が加わりますから、日立はグループとしてグローバル化の次のフェーズに進まなくてはなりません。

 他方、いま日本にいる社員たちが日常的にどこまでグローバルな視点でものごとを考え、行動しているかというと、まだまだ不十分です。一人ひとりが意識や考え方、行動を変える必要がありますし、組織としてもグループの責任と権限、レポーティングの構造などを変えていかなくてはなりません。

 今後はグローバルに考え、行動することが当たり前になるカルチャーを国内にも浸透させていく必要があると考えています。

日置 デロイト トーマツでは今年6月、東京丸の内のオフィスにビジネスリーダーを対象としたさまざまなプログラムを提供するための新たな施設「Greenhouse(グリーンハウス)」を開設する予定です。

 イノベーションを創出するためのデザイン・シンキングの実施を目的にデロイトがグローバルに展開しているこの施設では、最先端のテクノロジーを使って、CxOのトランジションや組織のトランスフォーメーション、イノベーションなどをテーマにしたインタラクティブなセッションを提供します。

 事業を取り巻く環境変化が激しく、複雑化している現代は、ビジネスリーダーが取り組むべき課題が山積しています。そんなときにこそ、新たなインプットと深い思考の機会が必要です。私たちは、Greenhouseを通じてそうした機会を提供していきたいと考えています。