過去の経験値だけでは通用しない変化の時代に対応するために、今日では企業エグゼクティブ自身も素早く、的確なトランジションを求められる場面が増えている。今回は、日立製作所代表執行役CFOの西山光秋氏を迎え、CxOのトランジションのあり方について議論する。

ディスカッションを通じて、思考を整理する

 いつの世も企業のマネジメントは大いなる挑戦である。経営の世界においても「VUCA」という言葉が使われ始めてから久しいが、いまだその真っただ中である今日、企業のエグゼクティブにとってそのハードルはさらに高まっている。

 とくに昇格や異動、経営方針の大きな転換などに伴って、エグゼクティブ自身がトランジションを求められる際には、いかに素早く課題を整理し、的確なアクションプランを策定できるかどうかが、その後のパフォーマンスを大きく左右する。

 日立製作所の西山光秋氏は本社のCFOに就任する直前、CxOのトランジションを支援するデロイトのセッション「トランジションラボ」に参加した。

日置 トランジションラボは、昇格やロールチェンジ、経営方針が大きく変化した際など、エグゼクティブ自身がトランジションを求められる場面で活用していただいています。

 一般的なエグゼクティブ向けのトレーニング・プログラムと異なるのは、エグゼクティブ個人の目線に立って課題やアクションにフォーカスすること、そして、デロイト独自のフレームワークに沿って専門のファシリテーターによるインタラクティブなセッションを提供していることなどです。

 西山さんは、どのような理由からこのセッションに参加してみようと思われたのでしょうか。

西山光秋(にしやま・みつあき)
日立製作所
代表執行役 執行役専務CFO 兼
財務統括本部長

1979年日立製作所入社、94年日立アメリカ社ダイレクター、98年日立PCコーポレーション(米国)シニアヴァイスプレジデント&CFO、2003年日立グローバルストレージテクノロジーズ社シニアダイレクター、2008年日立製作所 財務一部長、2011年日立電線(現・日立金属)執行役/CFO、2013年日立金属事業役員常務電線材料カンパニープレジデント、2015年日立製作所執行役常務財務統括本部長、2016年より現職。1979年東北大学経済学部卒業、90年ジョージア州立大学MBA取得。

西山 私は2015年に子会社から日立製作所の本社に戻り、16年からCFOを務めています。トランジションラボに参加したのは、CFOになる直前の15年下期だったと記憶しています。

 正式にCFOに就任する以前からすでにほぼ同じ役割を与えられていましたし、子会社の日立電線(現・日立金属)や日立金属でもCFOを務めた経験はありましたので、CFOの役割の何たるかは理解していたつもりです。

 ただ、日立製作所のCFOに就くとなると、そもそも事業規模も責任範囲もいままでの会社よりはるかに大きく、コーポレート部門にいる部下ばかりでなく、各ビジネスユニット(BU)の財務部門を含めてグループ全体に方針を示し、緊密なコミュニケーションを図りつつ、アクションプランを実行していかなくてはなりません。

 同じCFOといっても、一つの事業会社とグループ全体を統括する本社では、コミュニケーションの取り方からガバナンスの利かせ方まで、仕事の進め方や難易度が大きく違います。

 ですから、外の人たちとのディスカッションを通じて、自分の頭を整理しておきたかったし、私自身の描いていたCFOとしてのアクションプランを客観的な目で検証してほしかった。それが、トランジションラボに参加した理由です。