CDOには技術以上にメガトレンド視点や
顧客提供価値に対する理解が求められる

 最後の論点は、「DXの推進体制をどう構築するか」。根来氏は、DX推進の条件として「両利きの経営」を推奨し、「右手で既存事業をやって、左手で新規事業をやる。しかし、両利きの経営をできる人材はあまりいない。どんなに素晴らしいマネジャーでも、既存事業と性質やスピード感の異なる新規事業との両方をマネージすることは難しいからだ。つまりは、既存と新規を隔離するほかない。隔離したうえでそれをつなげるのが、経営トップだ。センスのある経営トップだけが両利きの経営を実現できる」と述べた。

日本HP
専務執行役員 九嶋俊一氏

 九嶋氏は自社を例に次のように説明した。「日本HPでは、DXのリーダーはCEOだ。その下にCOOと3つの事業ユニット長がいて、COOの下にITシステム、サプライチェーン、サポートサービス部門が置かれている。その意図するところは、デジタルプラットフォームの全社的な統合だ。事業ユニットごとにデータを持つと部分最適に陥ってしまう。そうならないための組織体制になっている」。

 首藤氏は、九嶋氏の意見を踏まえつつ、CDOに求められる役割を次のように説明した。「最近、日本でもCDOが注目を集めているが、本来的にはそうした役職はなくてもいいはずだ。デジタル技術を自分たちの業務にどのように活用していくかは全部門で考えるべきことであって、特定の組織や人材のみが考えるものではないからだ。ただ、DNAレベルで会社の組織・人材を変えていく、あるいは10年先を見据えて社内の仕組みやプロセス、インフラを変えていく役割であれば、CDOという役職は重要だ。CDOには、技術理解以上にメガトレンドや顧客提供価値の変化に対する理解、バリューチェーンを俯瞰的に見られる視野の広さが求められる」と締めくくった。