●対立の原因と、それに対する自分の反応を熟考しよう

 最初のステップは、受け入れること、そしてよく考えることだ。

 誰とでも気が合うわけではないが、誰との交流にも潜在的な価値があることを覚えておこう。出会う人のほとんどすべてから学ぶことができ、学ぶべきであり、それを実現する責任はあなた自身にある。たとえ相手との関係構築に困難が伴う場合でも、である。

 対立の原因は何なのか、対立が生じる中で自分はどんな責任を負っているかを正直に見つめよう。問題の根底にあるのは、その状況に対するあなたの反応かもしれない(それに、自分の反応以外はコントロールできない)。ケイシーの場合、マルタを「好きになれない」原因は自分自身にあるかもしれないと気づく必要があった。

 ●相手の考え方を理解するよう努めよう

 他人の人生を惨めにしようと思って1日のスタートを切る人など、めったにいない。相手の視点に立って考える時間を設けよう。その人物が自分の成功に欠かせない存在だとしたら、なおさらだ。

 自分に以下のような問いかけをしてみよう。なぜこの人は、こんなふうに振る舞っているのか。動機は何か。相手は私のことをどう見ているのか。私に求められ、必要とされていることは何か。

 ケイシーのマルタに対する見方が変わり始めたのは、マルタにも自分と同じように正当な目標と動機があり、お互いの目標は本質的に対立しないと理解するようになってからだった。

 ●批評家や競争相手になるのではなく、問題を解決する人になろう

 他者とうまく働くには、競争相手としてのスタンスから協業相手としてのスタンスに移行することが重要だ。1つの戦術は、相手に問題を「ぶつけてみる」ことだ。相手を克服しようとするのではなく、直接巻き込もう。

 ケイシーの場合、マルタを昼食に誘って率直に打ち明けた。「私たちは十分効果的に働けていないと感じているの。あなたはどう思う?どうすればもっと協力できるか、何かアイデアはある?」。相手に手の内を見せてほしいと頼み、その過程で自分の弱点をさらけ出せば、往々にして相手も手の内をいくらか明かしてくれるものだ。

 ●もっと質問しよう

 ほとんどの人は対立した状況下で、みずからの考えを「伝える」ことで問題を解決しようとする。過度に断定的になってしまい、状況を悪化させることが多い。

 その代わりに問いかけよう。理想的には、オープンエンドな質問をして会話を生み出そう。自分の考えは脇に置き、的確な質問をして、相手の答えに辛抱強く真剣に耳を傾けよう。

 ●自分の人付き合いの仕方への意識を高めよう

 対立を相手との「相性の悪さ」のせいにするのは簡単だが、誰もがそれぞれのスタイルを持っているものであり、その違いを知ることがしばしば役に立つ。

 昼食の席でマルタとケイシーは、2人ともキャリアの初期にMBTI(マイヤーズ・ブリッグス性格診断テスト)を受けていたことを知り、それぞれの性格について話し合った。ケイシーは明らかに内向的で極度の感覚型だ。1人で静かに問題に取り組む時間を持ち、広範なデータから結論を導き出したいタイプである。かたや、マルタは外向的で極度の直観型で、素早く行動することを好み、大局に目を向け、他者と対話をしながら問題を解決していくタイプだ。

 こうしたスタイルと嗜好の違いを考えると、ケイシーとマルタがやりにくさを感じるのは当然だった。しかし、お互いの違いを知った後は、それぞれのアプローチに適応して受け入れれば、互いのやり方はきわめて補完的になりえることに気づいた。

 ●助けを求めよう

 助けを求めれば、難しい人間関係を改善することができる。そうすることで、相手の知性と経験に価値を見出していることを示せるからだ。

 昼食の際、自信をつけたケイシーはマルタにこう切り出した。「あなたは私より長くこの会社で働いているわね。私も事情は少しずつわかってきたけれど、助けてもらいたいの」

 そして、彼女は次のように問いかけた。「私がもっとすべきことと、すべきでないことは何かしら。見逃していることはない?つながるべきなのに、つながっていない人はいない?あなたがここで働き始めたときに、誰かが教えてくれたらよかったのにと思うことは何?」

 ケイシーとマルタの関係性は著しく改善した。最後に電話したとき、ケイシーは次のように語った。マルタとは直接、あるいは携帯メールやチャットアプリのスラックを使って頻繁にコミュニケーションを取り、お互いのチームの会議にも定期的に参加している。2人は四半期ごとに双方のチーム全員を集め、進捗を評価し、学習したりプロセスを改善したりする機会を探っている。

 マルタとケイシーは友人というわけではなく、社外で多くの時間をともに過ごす間柄ではないが、はるかによい同僚になり、当初予想していた以上にお互いを好きになった。

 ケイシーがマルタとの関係を好転させられた理由の1つは、「鉄が熱いうちに」行動したからだ。彼女とマルタとの険悪な関係がまだ固まりきっていなかったので、ケイシーは自己認識を改め、自分のスタイルを適応させて、歩み寄ることができた。

 気の合わない人と効果的に協働することは可能だ。ただそのためには、あなた自身が一歩を踏み出さなければならない。


HBR.ORG原文: How to Collaborate with People You Don’t Like, December 04, 2018.

■こちらの記事もおすすめします
苦手な同僚への共感を育む方法
社内のコラボレーションは絆や信頼からは生まれない
職場のイヤな奴から身を守る法

 

マーク・ネビンズ(Mark Nevins)
ネビンズ・コンサルタント社長。上級管理職とそのチームに、リーダーシップや変化、組織の効率性について助言やコンサルタントを行う。ジョン・ヒレンとの共著What Happens Now(未訳)がある。