1. 頭の良い人は知能を過度に重視し、人間関係の構築など、他のスキルの重要性を過小評価する

 頭が非常に良いと、その高い知能があれば成功は確実と考え、成功に必要な他のスキルは重要でないと決めつけてしまう。たとえば、職場での社交が苦手な人は、それを役割に不可欠なスキルとは考えず、いらだちの原因でしかないと見なす。同様に、人当たりのよさは秘書にとっては不可欠だが、エグゼクティブである自分にとっては不必要だと思い込む。だから、そのようなスキルの向上には時間と労力をつぎ込もうとしないのだ。

 何となくそう考えるようになったわけでは、もちろんない。たいていの人は、自分の長所を活用しようとする傾向があり、一方で、自分の得意としない分野には避けようとしがちだ。頭の回転の速い子どもは幼い頃から周囲に評価されることで、自分の知能には価値があると考えるようになる。頭が良いと言われて育ち、学校では他の生徒より容易に成功体験を積み上げていく。その結果、大人になってからも自分の知能にこだわり続けるのも納得できる。

 しかし、ほとんどの職場では、ただ高い知能を持っていても前には進めない。そして、自分の弱点を克服しようとせずに、強みだけを重視することは、往々にして、自分にとって好ましくない結果を招くことになる。

 ●解決策

 弱点の克服に長所を活かそう。学習能力が高いのであれば、自分の得意としない分野におけるスキル習得に、その能力を活かすといい。本来の性格をガラリと変える必要はない。必要なのは、具体的な改善プランを立て、誠実かつ建設的な態度で臨むことだ。たとえば、職場での外交が苦手なら、改善につながる具体的な行動を3つ特定し、それらの習得に向けて取り組むといい。

 2. 頭の良い人にとって、チームワークはフラストレーションがたまる

 コンセプトの飲み込みが速く、自身のパフォーマンスに高い基準を設ける人は、情報処理にもコンセプトの把握にも時間のかかる人との共同作業に、困難を感じがちだ。学校で自分ほど頭の良くないクラスメートが同じクラスにいたことで足を引っ張られたと感じていたとしたら、チームワークに対するフラストレーションは、人生の早い段階から実感していたことになる。

 グループで取り組むプロジェクトはほとんどを自分一人でこなし、簡単すぎて退屈な授業中に別のことを考えていて叱られた経験がある人なら、その気持ちがよくわかるだろう。その後の人生の局面で、たびたび同じような気持ちを抱くことになる。子どものどきに経験した感情のすり傷は、大人になって塩を塗るような場面があると、極めて強い心的反応を引き起こすことがしばしばあるのだ。

 また、頭の良い人は誰かに仕事を任せるのをためらう傾向がある。自分のほうが優れた仕事ができると感じているからだ(それが真実かどうかは別の話)。とりわけ、完璧主義的な人に強く見られる傾向である。

 ●解決策

 心の中でネガティブな反応が起きても、自分を責めたりせず、そのような反応がどこから来ているのか理解しよう。また、多様な頭脳がチームにもたらすメリットを、真に理解することを学ぼう。

 3. 頭の良い人は、頭の良さを自尊心の土台と位置づける傾向があり、それがレジリエンス(回復力)低下や回避行動につながる

 知能を自尊心の拠り所とする人は、自分の知能の不足した部分が露呈するシチュエーションにおいて、甚大な心理的ストレスを感じることがある。たとえば、自分よりスキルや知能が高い人と仕事をするとか、批判的なフィードバックを受けるとか、リスクを取って失敗するといったシチュエーションだ。自分の知能不足を感じさせるシチュエーションすべてを、大きな脅威と認識してしまう。頭の良い人は、そのようなシチュエーションを回避することすらあり、そうなると、能力をフルに発揮できない結果を招く。

 ●解決策

 ある面で自分よりよくできる人と仕事をするメリットについて、客観的な視点から考えてみよう。頭の良い人たちに囲まれることは、あなたにとってプラスになるはずだ。鉄は鉄によって研がれることを思い起こしてほしい。有効かつ建設的なフィードバックをくれると信頼できる人との関係を深めよう。あなたの才能や能力を信じている人からの批判的フィードバックに慣れれば、どのような批判も受け入れやすくなる。

 4. 頭の良い人はすぐに退屈してしまう 

 頭が良いことと好奇心が強いことは同じではないが、この2つの特性を持ち合わせた人は、同じ行動の繰り返しにすぐに退屈してしまいがちだ。創造性を発揮することで手に入る成功もあれば、ニッチ分野で一定の行動を繰り返すことで専門性を高めて手に入る成功もある。

 頭が良く、好奇心旺盛で、学習好きな人は、何を習得するにせよ、要領がわかった途端に興味を失ってしまいがちである。実践するときにはすでに退屈し、常に新しい学びを好む。ニッチを開拓し、同じ手順を繰り返すことは、収益性の面で優れているかもしれないが、あまりにも退屈で、やりがいに欠けると思えるのだ。

 ●解決策

 広い視野からあなたの全体的な成功を眺めてみよう。時折、いくばくかの退屈に耐えて、簡単に得られる成果を積む時間を設ける価値があるはずだ。

 それはいつだろうか。劇的に変わる必要はない。短い時間(数分でも数時間でもいい)退屈に耐えて取り組めくことで、成功へのポジティブなインパクトを及ぼすのはいつかを見極め、時間を確保しよう。たとえば、単調ではあるが儲かる仕事に、1週間のうち5時間をつぎ込む、という具合だ。

 加えて、仕事や趣味、フィットネス、自己理解など、あなたの人生のあらゆる領域で、学習への情熱を注げる先を用意しておくことも重要だ。

 5. 頭の良い人は、熟慮と内省がすべての問題解決につながると考える

 頭の良い人は、思考力を通して成功をつかむことに慣れているため、他のアプローチが望ましい場面でも、それを見過ごしてしまうことがある。たとえば、直面するあらゆるシチュエーションを、とことん考えることで対処しようとする(決断のためのリサーチをしすぎたり、過去の失敗をいつまでも再現していたりする)。他のアプローチが実を結ぶ可能性が高いときでも、とにかく自分の思考力に頼ってしまうのだ。

 ●解決策

 考えることが、不健全な執着になっていないか注意しよう。熟考より成功につながる戦術がないか、検討してみよう。思考にのめり込みすぎないよう休息を取り、徹底的に調べることではなく行動を取ることでも学べるようにしよう。スキルの幅を広げて、解決策の引き出しを増やそう。そうすれば、ハンマーしか持っていないから、問題をすべてクギととらえてしまうことはなくなる。

 そして最後に、同じことをグルグルと考えている状態に陥っていることに気づいたら、頭を空にして熱中できる活動(たとえばパズルなど)に数分だけ取り組み、思考の流れを断ち切ろう。これは、ネガティブな思考から抜け出すうえで、驚くほど効果的なストラテジーだ。

 上記5つのパターンのうち、あなたに最も当てはまるのはどれだろうか。ランクづけしてみよう。同僚や自分の知っている人の中で、このような罠にはまっている人はいないだろうか。

 羞恥心や価値判断は、手放すといい。こうした思考の習慣を克服するうえでは、必要でも効果的でもないからだ。どの傾向があなたに当てはまるにせよ、上記の具体的かつ実用的な問題解決のアプローチを用いれば、深く根づいている長年の心理パターンも克服できる。


HBR.ORG原文:5 Ways Smart People Sabotage Their Success, November 13, 2018.

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アリス・ボーイズ(Alice Boyes)
博士。臨床心理士から作家に転身した。著書にThe Healthy Mind ToolkitThe Anxiety Toolkit(ともに未訳)がある。