遠隔勤務者の数が増える一方で、一部の企業は遠隔勤務制度を取りやめ、毎日のオフィス勤務を例外なく義務づけている。すでにこれを義務化した企業には、ヤフー、ベスト・バイ、ヒューレット・パッカード、レディット、IBM、ハネウェルなどがある。

 こうした企業は、対面による協働がチームワーク、アイデアの共有、迅速な意思決定を促進すると認めている。直接顔を合わせることが、強力な文化を醸成し、意欲を高め、職場での人間関係を活性化する最善の方法だと信じているのだ。

 ハネウェルのシニアディレクター、キーア・エーリッヒは次のように語った。「数ヵ月前に弊社が在宅勤務を廃止したとき、ずっと遠隔勤務をしてきた社員たちにそのことを説明するのは、マネジャーとして残念であり、愉快ではありませんでした。とはいえ、人と人との関わりを求めるリーダーとしては、それが最善の決断でした。いまでは、社員が実際に社内にいます。以前は辛かった電話会議が、いまではホワイトボードを使った協力的な会議となっています。大量のメールを送る代わりに、社員は椅子から立ち上がり、私のオフィスに来てくれます。それは素晴らしい光景であり、生産性が高まっただけでなく、チームの結束も強くなったのです」

 リーダーは、従業員たちにも同じような経験をしてほしいと思っている。なぜなら、それが文化とビジネスにプラスとなるからだ。

 遠隔勤務を促進して予算を削減する代わりに、オフィスのデザインに資金を投下している企業も少なくない。多数のミーティングスペースがあってうまくデザインされたオフィスは、従業員が望む柔軟性を協働的な環境で提供してくれる。

 アップルは、約1万2000人の社員を収容する26万平米のオフィス空間に50億ドルを投じている。アマゾンも5万人が勤務する新しい本社に50億ドルを費やす予定であり、チューリッヒ保険は3000人を擁する7万2700平米の北米オフィスに3億3300万ドルを投じた。明らかに、これらの企業にとってオフィスデザインは重要なのだ。企業は、従業員が自由に交流して画期的なアイデアを生み出せる場所を求めている。

 こうした企業は、従業員同士が近くにいることが大事なのだと理解している。同僚と席が近いほどコミュニケーションが増え、チームへの長期的なコミットメントにつながる関係を築くことができる。

 遡ること1977年、マサチューセッツ工科大学教授トーマス J. アレンは、科学者とエンジニアのコミュニケーションパターンを調査し、席が遠いほどコミュニケーションを取らなくなる傾向があることを突きとめた。席が30メートル以上離れていると、定期的にコミュニケーションを取る可能性はゼロだったのだ。

 ワールプールのシニア・カテゴリーリーダーであるマイク・マックスウェルは、次のように語っている。「顔を合わせて会議をすると、距離が縮まり存在感が出て、より効果的に協働できるようになります。場の空気も読めるようになり、飲み込まれた言葉に気づくことができます。説明がさらに必要なときや、評判の悪いことをやめるべきときを知るためにも、空気を読むことは不可欠なのです」

 遠隔勤務では、近接性の欠如だけでなく、コミュニケーションの遅れが生じることも多い。従業員が同じ場所にいなければ、理解、決定事項、意識を全員で共有するのが難しくなる。「離れて散らばった従業員たちの間にコミュニケーションの欠落が生じるたびに、彼らはその穴を憶測で埋めようとする」と、バージン・パルス社長兼最高医療責任者のラジブ・クマールは語る。その憶測は、職場での対立につながるおそれがある。

 遠隔勤務者のほうが生産性が高いことは調査で明らかであり、本人たちも柔軟性を満喫していると表明するだろうが、自分がどれだけ孤立しているのかについては、本音を明かさないことが多い。一部の企業は極端に走り、全員にオフィス勤務を義務づける、あるいは全員に遠隔勤務を可能にすることがあるが、たいていはその中間が最善の方法だ。オフィスで柔軟性を提供しながら、ポジションや必要性に応じて勤務時間の一部を遠隔勤務にする選択肢を与えるのだ。

 本人が認めなくても、従業員には、対面でコミュニケーションする時間が必要である。そして企業は、人材を維持してグローバル経済で戦うためには、意欲の高い従業員が必要なのだ。


HBR.ORG原文:Survey: Remote Workers Are More Disengaged and More Likely to Quit, November 15, 2018.

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ダン・ショーベル(Dan Schawbel)
フューチャー・ワークプレイスのパートナー兼リサーチディレクター。ミレニアル・ブランディングおよびWorkplaceTrends.com.の創設者。著書にBack to Human(未訳)がある。