企業戦略としての採用改革を

 日本企業が「アイディール」的な採用を行う動きもあるのだろうか。

「多様な人材を受け入れるために、組織を変革する企業はじわじわと増えています」と服部氏は話す。

「これは新卒ではありませんが、東京近郊に立地するある企業では、自社の周囲の住宅地に、高学歴・高キャリアの主婦が多いことに目を付けて戦力化しました。彼女たちの多くは、かつて都心の企業で働いていた元バリキャリで、働く意欲も能力も高い。しかし子育てのためにキャリアが中断しており、フルタイム勤務は難しい。そこで、フレキシブルな勤務やリモート業務の仕組みを整え、積極的に彼女たちにアピールしたのです。この改革は、会社の戦力アップだけでなく、既存の社員の働き方の自由度も上げました。望む能力を持つ人材を採用する方法を突き詰めて考えたことで、働き方改革まで実現した例といえるでしょう」

 大事なのは優秀な人材にパフォーマンスを発揮してもらうことであり、既存のシステムの維持ではない。人に仕事を合わせれば、優秀な人材を獲得できる可能性が広がるのだ。

 もちろん、こうした試みの大前提は、「採用」が会社の成長戦略の中にきちんと位置付けられていることだ。

 服部氏の経験則によると、採用で実績を上げている企業には、経営者が採用活動に深くコミットしているという共通の特徴があるという。他社と横並びの発想から脱却し、オリジナルな視点で戦略を描くことが、採用に関して、今後ますます強く求められるのではないだろうか。