実験1:ソーシャルサイトを30日間、完全に遮断

 最初の実験は、ソーシャル関連を日常生活から完全に排除することだった。フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、ユーチューブ、リンクトインの使用を30日間禁じたのだ。実験の開始前、私は異義を唱えた。「でも、フェイスブックは仕事で必要だ」と頭の中でつぶやいたのである。まさに、SNSの中毒性を物語る証である。

 各サイトからログアウトし、スマホからアプリをすべて削除した。さらに、フリーダム(Freedom)というウェブサイトのブロッキングツールを使い、ブラウザーとモバイル双方でソーシャルサイトに制限をかけた。締めくくりに、私はパートナーにスマホを渡し、私の知らないパスワードで保護者による使用制限をブラウザー上で設定してもらった(念には念を入れたのである)。

 結果

 いったん腹をくくると、予想以上に簡単で驚くほどだった。オフラインになったこと、きっぱり決意したことで逆に安心感さえ覚えた。その際に私が学んだことを紹介しよう。

 ・いくつかの技術的な苦労があった。特にフェイスブックは他のさまざまなアプリと連携しているため、ソーシャルログインが必要な全ツールで問題が生じた。今後は必ずメールのリンク先からログインするように心がける(セキュリティの強化にもなる)。

 ・読書量が急増した。1ヵ月で読んだ本の数は、過去3ヵ月分を上回った。休憩したくなるとソーシャルメディアやニュースサイトを見る代わりに、読書専用端末キンドルを取り出していた。

 ・私は驚くほど頻繁に、調査や発見のためにソーシャルサイトを使っていた。連絡を取りたい人を思い浮かべたり、確認したいプロジェクトがあったりすると、すぐにソーシャルサイトを検索していた。ソーシャルサイトへのアクセスを失ったことで、短期的には面倒が増えたが、結果として進行中の仕事は遅れなかった。じれったいが有効と思える、より深く創造的な仕事環境の創出と素早いアクセスとの間で葛藤があった。

 実験が終わると、私はソーシャルメディアへ無制限にアクセスできる生活に戻った。ただし、レスキュータイムによる使用状況の追跡は続行した。

 1ヵ月のソーシャル断ち後の新鮮な目で見てみると、よくも悪くも、さまざまなサイトの使い方のパターンがいっそうはっきりとわかった。主な発見は、デバイスによって行動が著しく異なることだった。私の場合、SNS依存症の元凶はノートPCではなかった。机に向かって仕事をしている間は、ほとんどの時間を実際に仕事に費やしていた。つまり、依存症の最大の原因はスマホだったのである。

 さらに、私の行動はきわめて明確に時間と関連していた。ソーシャルメディアの使用(または渇望)は、明らかに特定の時間帯で急増していた。私の悪習はたいていの場合、深夜に疲れきっているとき、早朝のぼんやりしているとき、それ以外に疲れて「スクロール」を渇望している時に集中していた。また、午前半ば(11時ごろ)と午後(3時ないし4時)に休憩したくなることも、簡単に予測できた。これを上回る最悪の時間帯は、脳が疲弊している深夜と夕食後だった。

 30日間、ソーシャルメディアを完全に遮断すると、1日のいつ頃に疲れを感じ、いつ頃に調査や実際の連絡のためにソーシャルプラットフォームを使いたくなるのかを知ることができた。

 実験2:1日のうちソーシャルメディアを遮断する時間帯をつくる

 ソーシャルメディアを排除するのではなく制限することで、同じように効果的な結果を得られるかどうかを私は知りたかった。そこで2つ目の実験では、実験1で突き止めた「疲れが出る時間帯」を軸にして、ウェブサイトの使用を一部制限した。

 2週間にわたり、フリーダムのようなブロック・アプリを使い、1日の特定の時間帯でソーシャルメディアへのアクセスを制限した。パソコンでは午後のみソーシャルサイトへのアクセスを可能とし、午前中や夕食後は遮断した。また、あらゆるニュースサイト、テレビのサイトもブロックし、ニュースフィードを惰性でスクロールしないようにニュースフィード・エラディケーター・フォー・フェイスブック(Newsfeed Eradicator for Facebook)というプラグインをインストールした。

 結果

 午前中にソーシャルメディアとニュースフィードを遮断したことは、大きな変化をもたらした。集中する時間帯を設けたこと、さらに1日の後半に休憩が待っているとわかっていたおかげで、大事なプロジェクトの仕事をはるかに多く片付けることができた。

 ・4~5日目には、この変化による長期的効果が明らかになった。午前中、衝動に負けてしまうと(ちょっと何かをチェックする、アマゾンで買い物をする、何通かメールを書くなど)、集中した仕事の世界へ戻ることが、はるかに難しくなるのだ。

 ・1日のある時間帯を特定のプロジェクトのために確保すると(午前11時前までに大きなプロジェクトを進めるなど)、私の生産性は大幅に向上した。

 ・強力だった誘惑は次第に弱まった。朝一番でソーシャルメディアをチェックするという最大の誘惑を克服したら、午前中の残りの時間帯を、いっそう集中して澄み切った頭で過ごせるようになった。

 私にとって、この戦略はきわめて効果的だとわかった。時間に応じてインターネットをブロックすると生産性が上がったのだ。しかし、ここで反対の疑問が出てきた。ソーシャルメディアを一切使わない時間帯を設ける代わりに、ある特定の時間帯をソーシャルメディアの使用だけに費やしたらどうなるのだろうか。

 実験3:ソーシャルの「ハッピーアワー」

 次の実験では、1日の特定の時間帯をソーシャルサイトの使用だけに割り当てた。カレンダーの通知を午後4時~5時に設定した。半日近く仕事や子育てをした1日の終わりに、ソーシャルサイトにつながり、楽しみ、新しい人々に出会い、新しいアイデアを見つける「ハッピーアワー」である。

 結果

 「ソーシャルサイトに入り込み、調査や閲覧(スクロール)ができる」ことがわかっていて、ストレス発散のできる時間を設けておくと、1日のその他の時間帯に誘惑に駆られずに済んだ。悪習を全面排除するのに全精力を傾けるよりも、悪習を好ましいものへと変えるほうが簡単だったのである。

 ・奇妙なことに、ソーシャルメディアを1時間集中して使うと、その面白みが減退した。20分か、長くても30分でスクロールを終わらせていることに気付いたのだ。閲覧したりコメントしたりできることは限られていた。

 ・舞い込んでくる依頼すべてに対処する効率が、はるかに改善した。1日を通じて対話が細切れに交わされるのではなく、個々の意義ある話や依頼に対してブラウザーのタブをそのつど開き、本腰を入れて片付けた。

 ・ソーシャルのためのコンテンツ作成量は減った。代わりに、エバーノートのファイルでソーシャルメディアの近況アップデートやシェアしたいことを事前にまとめるようにした。コンテンツ作成から公開まで12時間の時差が生じるため、本当にただちに共有すべきかどうかを見直すよい機会となった。

 最大の洞察は次の2つである。(1)1日中ちょこちょことソーシャルメディアを使うと、執筆その他の仕事に対するエネルギーと集中力が削がれる。(2)自分の近況アップデートを公開すると、何か目に見えない満足感が得られ、そのたびに脳内でドーパミンが放出されて満足感を味わい、実際に反応もある。一方で、こまめな投稿はエネルギーを消耗し、その疲れは蓄積する。

 実験4:サイクルを断ち切る24時間

 私が気に入っている気分転換方法は、週末の1日をスマホやノートPCなしで過ごすことだ。このアイデアは元々、ティファニー・シュレインの「テック・シャバット(安息日)」から思いついた。かつてトライアスロンとオープンウォータースイミングのトレーニングをしていたころ、私はたいてい土曜日を屋外で過ごしていたため、自転車をこいだり泳いだりしながらウェブサイトをスクロールする時間をつくるのは困難だった。

 そこで私はフリーダムとメッシュWi-Fiネットワークを使い、金曜日の深夜12時から土曜日の午後3時までの間、あらゆるデバイスをインターネットから遮断した。

 結果

 ハイキングをしたり、海辺に行ったり、友達とお茶をしたりと、やることがあれば大きな助けとなる。

 ・最も大変なのは「スマホを持たずに」玄関を出ることだ。それさえクリアできれば、自由が始まる。インターネットを遮断する最良の方法は、物理的にデバイスを別の場所に置いておくことだ。

 ・室内にいる日は、フリーダムのアプリで土曜日の午後3時まで「ソーシャルメディアとメール禁止」と設定する。こうすれば、午前中をだらだらのんびり過ごすことができる。私は医者でもなければ緊急作業員でもないから、土曜日の早朝6時にメールがつながらなくても、何とか1日をやり過ごせる。いつも午後1時ごろになると、他の用件で忙しくなってメールのことを忘れてしまう。

 ・この実験では、柔軟性が問われることに気づいた。記事の締め切りがあったり、週末に数時間だけ働きたかったりしたら、それらを片付けるために、いつ、どのようにログオンするか、パラメータを決めるのだ。

 現在、子どもがいても(最近はトライアスロンをやっていない)、接続の悪循環を断つために毎週土曜日にインターネットを遮断する効果を感じている。(私のように)金曜日になる頃には生産性が落ちていると思っている人にとって、インターネットを使わない1日は行動パターンをリセットする素晴らしい方法である。