「形式を選択して貼り付け」(習得所要時間10分)

「コピー」と「貼り付け」は、Excelでは最も単純で頻繁に使用する機能の一つである。しかし、不必要な書式が一緒に貼り付けられたり、値だけを貼り付けたいのに数式まで貼り付けられたりすることがよくある。

 こういうちょっとしたことを直すのに、結構手間がかかったりもする。そこで「形式を選択して貼り付け」の出番となる。「形式を選択して貼り付け」を使うと、コピーしたセルから貼り付けたい要素を指定することができるのだ。

[Ctrl]+[C]でセルをコピーしたら、[Ctrl]+[Alt]+[V]を押す(または、「ホーム」リボンの「クリップボード」セクションから選ぶか、「編集」メニューから「形式を選択して貼り付け」を選ぶ)と、「形式を選択して貼り付け」のダイアログ・ボックスが現れ、貼り付ける要素を指定できる。

 値だけを貼り付けたいなら、[Alt]+[E]+[S]+[V]のショートカットを使おう。これは「形式を選択して貼り付け」で最も使用頻度の高い機能だろう。

 複数の行を挿入する(習得所要時間2分)

 すでに存在する行間に、新たに行を挿入する必要に迫られるケースが少なくない。手軽に使えるのが、1行選択しておいて[Ctrl]+[shift]+[+]のショートカットを使う方法。[+]を繰り返し押せば複数の行を挿入できる。挿入したい行の数(たとえば5行)だけ選択し、右クリックから「挿入」を選ぶ方法もある。多くの行を1度に挿入したいときには、この方が手っ取り早いだろう。

 「フラッシュフィル」(習得所要時間30分)

 Excelは2013年、この機能によって独自の知性を獲得した。データ中になんらかのパターンを発見すると、「フラッシュ フィル」が自動的にデータを入力してくれるのだ。

 たとえば、A列の最初のセル10個に、「ABC-00001~ABC-00010」のように製品番号の一覧が入力されていて、「-」(ハイフン)のあとの数字だけのデータが必要な場合、「フラッシュフィル」を使うと簡単に「ABC」を消すことができる。2013以前のバージョンでも同じことは可能だったが、「FIND」「LEFT」「&」といった関数を組み合わせて使う必要があった。それがいまでは、誰もが驚くほど手早くできるようになった。

 パターンをつくるため、最初の空白セルに「00001」と入力しよう。「フラッシュフィル」がオンになっていると(「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」)、すぐ下のセルに次の製品番号を入力し始めた瞬間に「フラッシュフィル」がパターンを認識し、残りの番号をすべて自動的に埋めてくれる。それでOKなら、[Enter]キーを押すだけだ。これを手動で行うには、「データ」→「フラッシュフィル」を選ぶか、[Ctrl]+[E]が使える。

 魔法のような「フラッシュフィル」は、実にさまざまな場面で使うことができる。大量のデータを迅速かつ正確に入力したり、変更したりする必要がある場合、大いに時間を節約してくれる。「フラッシュフィル」はまさに驚異的な機能である。

 「INDEX」と「MATCH」(習得所要時間45分)

「VLOOKUP」(ある列で指定したデータを探し、対応する行の別の列の値を返す関数)を除けば、Excelで対応する値を求めるときに最も広く利用されていて、かつ最強のツールは「INDEX」と「MATCH」の組み合わせである。

 これらの関数は、それぞれ単独でも貴重だが、組み合わせて使うことによって真のパワーを引き出すことができる。「INDEX」と「MATCH」を組み合わせると、膨大なデータセットから必要なデータを効率的かつ正確に取得することが可能になる。

 これら2つの関数をマスターすれば、同僚や上司に「Excelの達人」と見られるようになるだけでなく、単調で退屈な作業を素早く簡単に済ませることができるようになるだろう。それでは使い方を説明しよう。

「VLOOKUP」は使い勝手のいい関数だが、制約もある。データを探す方向が左から右に限られているので、検索するデータが表の左側にある必要があるのだ。「INDEX」と「MATCH」を使うと、検索したいデータが対象の表のどこにあっても探し出すことができる。

 たとえば、1つのワークシートに製品リストが入っていて、列見出しは「製品番号」「利益」「製品名」「売上」だとしよう。それとは別のワークシートに製品名のリストがあり、各製品がどれだけ利益を上げているかを知りたい、とする。この場合、製品名を検索条件として用いて、利益を取得することになる。製品名は利益の右側にあるので、「VLOOKUP」は使えない。そこで「INDEX」と「MATCH」の出番となる。

 次のような計算式になるだろう。

 =INDEX(利益の列,MATCH(検索する値,製品名の列,0))

 次のように考えれば仕組みを覚えやすいだろう。

 =INDEX (値を取得したい列, MATCH (検索する値, 検索する列, "0" ))(最後に「0」を入れると完全一致検索になる。「-1」なら検索値以上の最小の値、「1」なら検索値以下の最大の値を探すことができる。)

「INDEX」と「MATCH」は、1度や2度触っただけではなかなか理解できないだろう。たしかに練習は必要だが、「VLOOKUP」よりも柔軟で強力なツールなので、時間をかけて理解するだけの価値はある。なんと言っても、Excelの最も重要な利用法の1つなのだから。

 「SUM」(習得所要時間2分)

 行や列の合計を計算する「SUM」は、Excelを学び始めて、最初に覚える関数の1つだろう。しかし、列や行の最後のセルを選択して、[Alt]+[Shift]+[=]を押すと瞬時に入力できることをご存じだったろうか?

 [Ctrl]+[Z] / [Ctrl]+[Y](習得所要時間1分)

 Excelの失敗をなかったことにしてくれるお助けショートカットである。Excelを使っていて間違えたときに[Ctrl]+[Z]で元に戻していないなら、これからは活用しよう。それと比べてあまり知られていないのが[Ctrl]+[Y]。[Ctrl]+[Z]の逆で、直前に行った操作を繰り返すことができる。この2つの組み合わせはとても便利だ。[Ctrl]+[Z]と[Ctrl]+[Y]を何度も駆使して、希望する仕上がりまで持っていこう。

 「重複の削除」(習得所要時間10分)

 この機能はシンプルで簡単に使うことができる。「重複の削除」はその名の通り、所定のデータ範囲の中で重複している値を削除する機能である。重複をなくしたい値を取り除き、別のシートに置いておくようにするとよいだろう。この機能は「データ」タブで開くリボンの「データ ツール」セクションにある。

 重複を強調表示したいだけなら、「条件付き書式」を使うことができる。ショートカットは[Alt][H][ L]の順に押す(「ホーム」リボンの「スタイル」にもある)。

 「ウィンドウ枠の固定」(習得所要時間15分)

 大きな表をスクロールしていて、どれがどの列だかわからなくなってしまったことはないだろうか。そんなときは、「ウィンドウ枠の固定」を使おう。上部の行や左端の列を1つだけ、またはいくつでも固定できる。

 まず、固定したい列と行の範囲を決めよう。次に、固定したい列の左隣、固定したい行のすぐ下のセルを選択する。「表示」タブを開き、「ウィンドウ」セクションから「ウィンドウ枠の固定」を選ぼう。ショートカットは[Alt][W][ F]の順に押す。

 [F4](習得所要時間10分)

 Excelでは[F4]の特に便利な使い方が2つある。1つ目は「絶対参照」をつくっているとき。[F4]でさまざまな選択肢を切り換えることができる。2つ目はほとんど知られていないが、Excelの生産性をかなり高めることが期待できる使い方である。可能な場合、[F4]で最後の操作を繰り返すことができるのだ。たとえばあるセルに罫線を引いた場合、他のセルを選択して[F4]を押せば同じ罫線を引くことができる。

 [Ctrl]+[矢印キー](習得所要時間5分)

 最後の行や列を表示させるために表をスクロールしているなら、その代わりに[Ctrl]+[矢印キー]を使うようにしよう。このシンプルなショートカットで、作業している列や行の最後まで瞬時に飛ぶことができる。さらにShiftキーを組み合わせて、[Ctrl]+[Shift]+[矢印キー]とすれば大量のデータを一瞬で選択できる。

 【注意】 このショートカットは、列や行の途中に空白セルがあると、最初の空白の直前までで止まってしまう。最後の列や行にすぐに行きたい場合は、空白セルのない列を選ぶようにしよう。

 今回説明した10のうち2つか3つだけでも使いこなせるようになれば、日々の仕事が大幅に様変わりするだろう。データに基づいた意思決定を高度なレベルで行いたい場合も、単に早く帰宅して家族と過ごしたい場合も、Excelの役立つ機能を選んでマスターすれば、あなたの生産性を手っ取り早く、手軽に最大化できる。


HBR.ORG原文:10 Excel Functions Everyone Should Know, October 10, 2018.

■こちらの記事もおすすめします
ずば抜けて生産性が高い人の7つの特徴
気が散る自分を制御して生産性を上げる4つの方法

 

アダム・レイシー(Adam Lacey)
オンライン・トレーニング会社、Excel with Businessのマネージング・ディレクター。同社はExcelをはじめとするMicrosoft Officeを使いこなすスキルを100万人以上に伝授してきた。

デボラ・アシュビー(Deborah Ashby)
Excel with BusinessおよびFiltered.comのITトレーニング・マネジャー。Microsoft Officeスペシャリストでマイクロソフト認定トレーナーでもあり、20年以上、マイクロソフト製品をサポートしてきた。