協働チームの多様性をそのまま受け入れる

 世の中にはびこる問題が複雑化するいま、たった一人の天才の力、あるいは企業一社の力でその解決を図るのは、もはや不可能だと言っても過言ではない。その問題が複雑であるほど、そこには高度で専門的な技術を有する専門家が集結することが求められる。インターネットの黎明期に「集合知」という言葉が注目を浴びた時期もあったが、それはもはや前提ではないか。

 協働の重要性は以前から語られているものの、たとえば最近の『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の議論を見ると、コラボレーションの価値に加えて、チームに多様性が担保されていることの意義を説く論文が記事が多く存在する。たとえば、「多様性に伴う『居心地の悪さ』こそチームの成果を高める」「チームの多様性を創造性につなげるには、メンバー間の『仲介役』が不可欠である」などを見てもわかるように、実証研究を通して、多様性の成果が続々と証明されている。

 多様性に関する議論は、取締役の女性比率を高めたり、社内の外国人比率を高めたりという話に落ち着くことがあるが、たとえチームメンバーの属性がさまざまであったとしても、協働相手を「敵化」して、みずからの思考やアイデアへの賛同を促すのであれば、それは真の意味での多様性ではない。「ストレッチ・コラボーレーション」の2つ目のステップでは、チームメンバーとの話し方や聞き方にも言及されており、多様なバックグラウンドを持つメンバーが協働するためには、自分の正しさを証明するのではなく、自分と相手との違いがあることを認め、その違いとして受け入れる姿勢も重要ではないか。

 筆者が提示する解決法はやや精神面によっているところもあり、より具体性が欲しいという気持ちはあるものの、全体を通した問題意識はいまの時代に不可欠であり、現代を生きるビジネスパーソンに多くの気づきを与えてくれる1冊である。