途上国への民間投資で
参入しやすい携帯電話事業

――ところで、さまざまな案件からどのように保証対象を選ぶのでしょうか。

 まずは、案件から、開発効果が得られそうかです。

 次に案件がプロジェクトして成功していきそうかをみます。

 その次にリスク評価になります。リスクの格付けは、発展途上国ごと、リスクタイプごとに、最低でも四半期に1度は精査しています。MIGAとして、財務的にとれないような極端に高いリスクではないかを確認します。一方、リスクが低すぎる場合は、われわれがお手伝いする案件ではないので、あえて選ばないということがあります。

 また、投資先の国が、受け入れてくれるかどうか。ホストカントリーアプルーバルと言っていますが、これも重要です。投資する側が「上から目線」でこれが必要だろうと思っても、実際は現場のニーズとは違うことも多々ありますから。

 当然、環境や社会、ガバナンスの基準をクリアしているかどうかも審査します。

 こうして181カ国の理事会すべての承認を得たあと、いわゆる「パブコメ」を行います。われわれはパブリックディスクロージャーと言っていますが、一般に公開して意見を募ります。

 そして、現地にわれわれのスタッフが赴いて視察します。環境、法務、ビジネスなどの専門チームを送り込み、実地で確認する。デューデリジェンスですね。

 その後、理事会の承認を得る必要があります。

――相当な手順を踏むのですね。

 理事会の承認を得ることを含め、3カ月以上かかります。だからこそ、再保険に出す場合のロス率が低いのです。また、MIGAが保証した案件が発行した債券の格付けが、投資国自体の債券の格付けより上になることもでてきました。

 厳密な審査をするのは当然ですが、積極的に力を入れている案件というのもあります。いまや、世界人口の3分の2が携帯電話を持つ時代です。携帯電話やブロードバンドはインフラと考えているので、多少調査コストがかかっても、積極的に保証するようにしています。この点は、世界銀行グループのキム総裁にも理解してもらっています。

 今日では、インターネット環境があれば、かつてほど都会と地方の情報格差はなくなってきていると思います。世界中の若者がブロードバンドの恩恵を受けられるようにして、情報格差をなくすことで、どの国の若者にも等しくチャンスが与えられることになります。これはとても重要なことです。

 さらに、携帯電話事業に関する案件は、民間企業にお薦めしやすいのです。というのは、どんな国でも、消費者にとって、携帯電話の料金支払いはとても優先順位が高いので、代金の取りはぐれが少ないからです。つまり、発展途上国に投資するビジネスとして、民間が参入しやすい分野なのです。ですから、海外の民間企業で技術を持っているところが参入して成功している例が多いのです。