●プラス面を活用する

 職場の誰もが、時には1人になれるスペースを必要としている。結局のところ、「ドア付きの部屋」があれば、ある程度の心理的安全性も確保されると、ディロンは言う。そうした若干のプライバシーがあれば、どんなときでも「かかってきた電話を同僚に盗み聞きされる心配はない」し、あなたが「どんなサイトを見ているか」を同僚に知られずに済む。

 一方で、「同僚とより親密に知り合うと、多くのメリットが得られます。笑いが生まれ、ユーモアが生まれ、お互いの仕事と生活のリズムが感じられます」とディロンは言う。

 このように「親密な絆」といったプラス面を重視して、「時折のトゥー・マッチ・インフォメーション(TMI、情報過多)」といったマイナス面ばかりを強調しないことで、オープン型オフィスを最大限に活用するよう、ディロンは勧める。少なくとも、騒音について誰よりも先に文句を言いたいという衝動は抑えようと、バーカスは言う。細かいことにこだわりすぎるとか、気難しいなどと思われたくはない。

 ●チームの期待を合致させる

 不平を言う代わりに、どうすればオープン型オフィスで最適な働き方ができるのか、チームメンバーたちと話し合うことをバーカスは提案する。

 この話し合いは、「リーダー主導で推進する」のが最善なので、まず上司に相談するといいと、バーカスは言う。「みなで話し合いたいのですが、私が提起するのは適任ではないと感じています。お力を貸していただけませんか」と上司に持ちかけることを同氏は勧める。

 チームの共同目標は、「全員がその範囲内で行動すると合意した規範」を考え出すことだと、バーカスは言う。たとえば、同僚の1人が電話に出ているときには、残るメンバーは小声で話すことにする。

「直接的そして間接的な支援を求めるべきです」とディロンは言い添える。「あなたの代わりに目を光らせてくれる、いわば第2の目になれる協力者を得ること」もいい同氏は言う。そうすれば、たとえば、あなたが重要な電話に出ているときに同僚たちが騒がしくしても、この協力者が静かにするように丁寧に頼んでくれるだろう。「そして、あなたもこの協力者に同じようにするのです」

 ●ヘッドフォンを購入する

「高度の集中力を要する案件に取り組んでいるとき」のために、ノイズキャンセリング(雑音除去)機能付きヘッドフォンを購入することをディロンは勧める。そうすれば、ホワイトノイズなり、クラシック音楽なり、ベストコンディションで本領を発揮する助けになるものを聞くことができる。

 ヘッドフォンは「同僚に向けた視覚的合図としても役立ちます」。すなわちヘッドフォンを付けている間は、絶対に必要でない限り、声をかけないでほしいと示せるのだ。

「ヘッドフォンを使う頻度については、慎重に決めなければなりません」と、ディロンは注意を促す。「あなたがチームの一員であることを示す必要もありますから」

 バーカスによれば、事実上「イヤホン規約」を定めているチームもあるという。集中度合いを示す基準として採用しているのだ。「イヤホンを両耳に付けている状態の意味は、『私を一人にしておいてください。集中しています』。イヤホンを片耳にだけ付けている状態は、『邪魔していいかどうか、まず尋ねてください』。そしてイヤホンを付けていない状態は、『中断可能です』」

 ●オフィス内を動き回る

 ディロンによれば、職場の誰もが、「気をそらすものがない状態で、考え、書き、ブレインストーミングを行う」ことができる場所を必要としている。そして、とびきりオープンなオフィスでも、社員が騒ぎから身を遠ざけられるように、個別のスペースを備えている傾向にある。

 空いている会議室、パーティションで区切ったセミプライベートなスペース、そして静かな小部屋などを最大限に活用すべきだと、バーカスは言う。「割り当てられたデスクにずっといなければならないという、思い込みによる意識の壁(メンタルブロック)に、立ち向かうべきです」と彼は言い添える。かくして、「おしゃべりな同僚が、ゆうべの連続テレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の展開について話し始めたら、自分のノートPCを携えて、オフィスの別の場所に移動すればいいのです」

 大きな会社で働く人には、こんなアドバイスがあるとバーカスは言う。「別の階への移動は、役に立つことが多いです。階が違うとあなたのことを知っている人も少なくなりますので、あなたが気を取られる可能性も低くなります」

 ●オフィスを(一時的に)出る

 オフィスで集中することが難しいと判断した場合は、時折、他の場所、たとえば地元の図書館や近くのカフェなどで仕事をする許可を上司に求めることをバーカスは勧める。取り組んでいる案件に応じて、「どこが心地良い場所か、生産性が最も上がる場所はどこかに、気を配りましょう」

 そして、目当ての場所を念頭にリクエストをするといい。たとえば、上司に次のように言うといいだろう。「この種のレポートを書くときには、集中する必要があります。通りの向かい側にあるコーヒーショップに行って、この仕事をしてよろしいでしょうか」。このリクエストは、「1週間に1日、在宅勤務したい」と願い出ることに比べれば「相対的に小さな頼みごと」なので、却下されることも少ないはずだ。

 ●デスクの永続的な配置換えを要請する

 問題がオープン型のオフィスそれ自体にあるのではなく、おしゃべり好きで、とても声の大きな同僚にある場合は、「デスクの配置換えについて、上司に相談する」頃合いかもしれないと、ディロンは言う。「我慢すべきではありません」

 ただし、文句を言ってはいけない。そうではなく、新しいスペースに移動すれば、「あなたの生産性がいかに上がるかについて」上司に話すのだ。次のように言うのもいいと、ディロンはアドバイスする。「より静かな場所に移動すれば、常に期限内に仕上げることができます」

 何はともあれ、イライラを「ふつふつと煮え立たせ」て、ある日突然、同僚に向かって「黙れ!」と金切り声をあげるようなことだけは避けたいと、ディロンは言う。そのような感情の爆発は、「修復が極めて困難です」

 ●覚えておくべき原則

【やるべきこと】
 ・どうすれば全員がオープン型のオフィスで最適な働き方ができるか、上司およびチームメンバーと話そう。
 ・高度の集中力を要する案件に取り組んでいるときのために、ノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンを購入しよう。
 ・気をそらすものがない状態で、考え、書き、ブレインストーミングを行うことができるプライベートなスペースが、オフィス内にあるか探しておこう。

【やってはいけないこと】
 ・気難しくなってはいけない。オープン型オフィスのプラス効果を最大限活用するよう心がける。
 ・単独で取り組んではいけない。信頼できる同僚に、あなたのために時折、取り締まってもらうよう依頼し、その人のために同じことをすると約束する。
 ・黙って我慢してはいけない。デスクを移動すれば、あなたの生産性が改善すると思うのであれば、上司に相談する。