行動をストーリーに合わせる

 まず自分の行動を明らかにし、次にその目的を再設定したら、最後のステップは行動を変えることである。うまくいけば、あなたが情熱を注ぐ活動や責任を増やしていけるだろう。

 私にとってこの最終ステップは、目的意識を持つことがいかに大切かを教え子たちと語り合い、人生をよりフルに生きられるよう実体験から学んだ方法を共有することだった。SMARTの法則(スマートの法則)や年次インセンティブといった「人事のベストプラクティス」を教えるよりも、このほうが私自身にとってもしっくりきた。この方法に関する新しい書籍も執筆し、そのタイトルは[「いきいきと働く」を意味する]Alive at Work(未訳)とした。

 研究によると、従業員は、自分なりに仕事を充実させる方法を見つけると、一段と飛躍する。それは働く者の熱意ややる気、目的意識を生み出す。各人がみずからの長所や関心を中心に置いて仕事の枠組みをとらえ直していけば、職業人としての自覚、人としての自覚にも影響が及ぶ。

 意外に気づきにくいのだが、私たちは周囲に頼まれなくても、自分で仕事を工夫して、意義深いものにクラフティングできる。仕事とは「お金が必要だからやらざるを得ないもの」と、つい当たり前のように考えてしまう。人からの依頼や報酬がなくとも、さまざまなことができることを忘れてしまうのだ。ただ単に自分の熱意をさらに高めるために、多くのことができるのに。

 仕事をどう活性化させるかを考える際には、新しいストーリーを羅針盤にしよう。

 あなたがなぜ、そのような行動を取るのかというストーリーは、客観的なものではない。見ることも触ることもできない。しかし、ある意味では、このうえなくリアルなものだ。ストーリーは、あなたがどう行動するか、そんなあなたに周囲がどう反応するかに影響を及ぼすからである。

 あなたは自分の仕事のとらえ方について、自分自身に語ってきたストーリーを変えられる。そうすることで、あなたがよりインスピレーションを受け、活力に満ち、強い回復力を手に入れられることは実証されている。自分が信じられる最高のストーリーに合わせて行動を変えれば、周囲の人に刺激を与える可能性も高まり、仕事の意義も深まっていくだろう。


HBR.ORG原文:The Most Powerful Lesson My Cancer Taught Me About Life and Work, October 08, 2018.

■こちらの記事もおすすめします
かけがえのない一度きりの人生で、あなたは何をしますか?
モチベーションは自分の「物語」から生まれる
幸福を追求するがあまりパラドックスに陥ってはいないか

 

ダン・ケーブル(Dan Cable)
ロンドン・ビジネススクール教授。組織行動学を担当。新著にAlive at Work(未訳)がある。