よりよいストーリーを選ぶ

 次に、自分にとってよりしっくりときて、より有益なストーリーを選ぼう。自分がやっていることについて語るストーリー次第で、同じ行動や活動がまったく異なる意味合いを持つようになる。仕事について、自分の価値観や視点、経験に基づいた有意義なストーリーを選ぶことができれば、自分自身が持つ影響をよりよく解釈し、やる気を引き出すこともできる。

 あなた自身が鼓舞されるストーリーは、あなただけの真実で構わない。自分のポジティブな感情、回復力を呼び起こすためのストーリーを、誰かに「売り込む」必要はないのだ。

 たとえば、キャンディス・ビラップスの例を見てみよう。彼女は、ミシガン大学の総合がんセンターで、30年以上も清掃係として働いてきた(キャンディスが自分の仕事を説明している様子はこちらから)。ビラップスは、自分の仕事を低いレベルで解釈することもできた。床をモップで掃除し、ソープディスペンサーを補充することだ。しかし、彼女の仕事への解釈は違う。彼女はこう語る。「私がいまの職場にいるのは患者さんのためです。……ご家族との関係は私にとって本当に大切です。……私は、自分もがんセンターのポジティブな戦力だと考えています」

 ビラップスは、いまの仕事を単純な肉体労働ととらえる代わりに、自分にとって有意義なとらえ方を選んでいる。すなわち、困難な時期にある患者をサポートすることだ。もちろん、どちらも真実であり、どちらのストーリーを選ぶかは私たち自身に任されている。自分にエネルギーを与えてくれるストーリーは、どちらだろう?

 私の場合、教育を研究より一段下の活動と見なす(学術界にはそのような格付けがある)のをやめた。がんの恐怖に見舞われて以降、教壇という場を使って、[ビジネス・スクールの教え子である]リーダーたちに、部下が人生から豊かな生きる実感を得られるよう方向づけるにはどうすればよいかを示すことにした。

 教える仕事に新しいストーリーを与えてみると、自分がより刺激を受けるようになっただけでなく、私の経験にも、私が得た教訓にも合致していることに気がついた。人生は短く、人はそこからできる限り多くの意味を引き出すべきだ、という教訓である。起きている時間のほとんどは仕事をしているのだから、リーダーは、社員が仕事からどのような意味を引き出すかに大きな影響を及ぼせるはずなのだ。