辞めどきを知る

 もちろん、辞めることが最善策だと受け入れる心構えも必要だ。

 次の仕事に移るときだという、明白な兆候はいくつかある。たとえば、毎日ビクビクしながら仕事に行く、仕事で身体的または心理的に危険を感じる、仕事よりも上司のことを考える時間が多い、仕事のストレスがそれ以外の生活にまで及ぶ、あるいは自己評価が急落する……という状況なら、辞めどきである。

 キャリアを変えることを自分に許可しよう。事態はよくなるだろうという望みを捨てて、辞める恐怖に打ち勝つのだ。

 辞める決心がついたら、できるだけ事務的に、円満に立ち去ることが重要だ。怒りをぶちまけ、捨て台詞を残して出て行きたい気持ちに駆られるかもしれないが、それが長い目で見て、よい結果を残すことはまずない。退路を断つのはよそう。以下にそのための手立てを記す。

 ●次の手を用意する

 残念ながら、転職先を見つける魔法の杖はない。地道に仕事探しを開始しよう。

 ●正式な届けを出す

 たいていの業界では、退職日の2週間前に届けを出すのが標準的だ。できることなら、それより短くなることは避けよう。余裕を持って辞められるなら、それにこしたことはない。正式な退職届を書き、辞めることを上司に直接伝えよう。その際に忘れずにいてほしいのは、退職届は往々にしてファイルに綴じられ、求めに応じて、あなたのかつての上司が参照する可能性もあるということだ。届けは事務的に書くようにしよう。

 ●離職までのスケジュールを作成する

 職場を去るための計画を明確に打ち出す。辞める前にすべきことをはっきりさせて、それをやり通そう。プロジェクトを終える約束をしたのなら、かならず終えることだ。手に余るほど引き受けるのはよそう。担当すると約束したことは、やり残さない。自分が手掛けたプロジェクト等の状況について、上司とチームに十分な引き継ぎをしよう。

 ●早めに手を打つ

 上司が真に有害な場合には、退職届を提出したとたんに解雇されることもありうる。自分の私物、連絡先の情報、重要書類、挨拶等は、かならず届けを出す前に整えておくようにしよう。会社の所有物はすべて、きちんと迅速に返却する。返却したことを明記した正式な文書を入手すること。何かを盗んだと誰かに言いがかりをつけられるなどという、最悪の事態は避けたい。

 ●愚痴を言わない

 次の職のための面接の際や、新たな職場に落ち着いた後にも、上司のことを悪く言いたい衝動は抑えよう。採用する立場の上司は、あなたのことも、あなたの上司のことも知らない。不満だらけで不平を言っているように見えるだけだ。

 忘れないでほしい。辞めることに問題はないのだ。あなたの個人的、および職業的な将来は、その職場を去ることで拓けるのかもしれないのだから。


HBR.ORG原文: What to Do When You Have a Bad Boss, September 07, 2018.

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メアリー・アバジェイ(Mary Abbajay)
女性が経営する組織・リーダーシップ開発のコンサルティング会社、キャリアストーン・グループの社長兼共同設立者。公共部門と民間部門に対し、最先端の人材・組織開発ソリューションを提供している。現在は、BB&T銀行において地域マーケット担当社長の委員会の一員でもある。かつてはボード・フォー・リーダーシップ・グレーター・ワシントンの会長を務め、成人シグニチャー・プログラム、ユース・リーダーシップ・プログラム、ライジング・リーダーズ・プログラムを率いた。