●気の散らない環境をつくる習慣を身につける

 気を散らす多くの要因が我々の注意を引こうと競っている中で、あらかじめそれらに対処する策を講じる必要がある。この点で、「超集中モード」を実践することをお勧めしたい。しっかり腰を下ろし、重要かつ複雑な仕事に全集中を注ぐのに最も理想的な環境をつくるのだ。

 超集中モードに入るために、気が散る要因をブロックするアプリをオンにして(私はFreedomというアプリで、指定した時間はネットに接続できないようにしている)、雑音をカットするヘッドホンを装着し、スマホやタブレット端末は別の部屋に置き、コーヒーを飲み、自分が達成したい目標を心の中で意識的に定める。そして45分間集中したあと、気が散ることを好きなだけしてよい時間を10分間だけ設ける。

 私は自宅で仕事をすることが多いが、オフィスで働いている場合、超集中モードを維持するためには席を離れる必要があるかもしれない。なにしろ、空間の開けたオフィスでは、気が散る頻度が64%も高まり、他人から邪魔が入る頻度も増すためだ。

 ●毎日3つの目標を設定する

 強い意識を持てば、重要な仕事に集中しやすくなる。その達成のために、私が気に入っている習慣は、名付けて「3のルール」という。

 朝起きたら、今日1日が終わるまでに、達成したい3つのことは何かを考える。このとき、その3つ以外の重要度の低い事柄は別の「To Do リスト」に移すとよい。3のルールが効果的なのは、3つまでならば、あなたの意識の中にすっぽりと収まり、その達成を最優先に位置付けることで、さして重要でない些細な事柄に気を取られにくくなるからだ。

 たとえば、私が今日設定した目標は次の3つだ。本稿の執筆を終える、今日予定されているインタビュー2件を楽しむ、来週予定の講演で使うパワポを完成させる。1日を通して他の課題にも取り組むが、このルールを使えば、3つの重要目標に集中しやすくなる。

 ●なるべく難しい仕事に、なるべく多く取り組む

 仕事というのは、与えられた時間を全部使って成し遂げられる傾向がある。時間が余ると、さして意味のない仕事に費やされる。これは、生産性の専門家のあいだで 「パーキンソンの法則」として知られている。このような非生産的な活動には、内的要因と外的要因の両方があるが、取り組む仕事が十分に難しくないという理由で起こる場合もある。

 あなたがいま、生産性の乏しいことに、どれだけ時間を割いているかを測定してみよう。もしその時間が長いなら、あなたにはもっとやりがいのあるプロジェクトや、より多くの仕事を引き受けるキャパシティがある兆候だ。

 私は実体験から、この現象に気づいた。前著の原稿を仕上げた後、どうでもいい仕事に費やす時間が格段に増えたのである。SNSやメールに気を配り、スマホアプリに注意を向けることが、いつもより多くなった。与えられた時間いっぱいを使って、ダラダラと仕事をする自分に気づいたのだ。

 そう気づいた時点で、より難しい仕事や、より多くのプロジェクトを引き受けることにした。余計なことに時間を費やしていたのは、もっとやりがいのある仕事をする余裕がある、という兆候だったのである。

 ●あえて締め切りを設ける

 急を要さない長期プロジェクトを生産的にこなすのに役立つ、斬新なアイデアがあるので試してみてほしい。締め切りを設けるのである。

 たとえば、長々と退屈なレポートを書くのに、日中すべてを割くのではなく、「50分で終わらせる!」と決める。このように仕事をゲーム感覚にすることで、注意力を高め、より多くのエネルギーをつぎ込むことが可能になる。締め切りがあるおかげで、余計な時間をかけることができないからだ。

 私は記事を執筆するとき、この方法を最もよく使う。たとえば、日中の時間をすべて当てるのではなく、タイマーをセットして1時間の制限時間を設けるのである。時間的制約があると、集中せざるを得ない。楽しいもの、脅かすもの、新しいものに気を取られている場合ではなくなる。

 気を散らすものに心ひかれるのを止めることはできない。しかし、成功を手に入れるためにできることはある。これを機に、事前に気が散るのを阻止する戦術を身に付け、強い意識を持って取り組み、集中力を取り戻そう。


HBR.ORG原文: 4 Strategies for Overcoming Distraction, August 30, 2018.

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クリス・ベイリー(Chris Bailey)
生産性の専門家。著書にHyperfocus(未訳)、および『世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと』がある。1年間にわたって敢行した生産性プロジェクトでは、集中的にリサーチを実施し、数十の実験をみずから行って、可能な限り生産的を高める方法を探った。