今日こそ集中して仕事をしようと思っても、気がついたときには、たいして急ぎでもないメールに返信したり、SNSを眺めたりしていないだろうか。ある調査によると、私たちがPCに向かって仕事をしているとき、1分間すら集中できていないという。生産性の専門家である筆者が、目の前の仕事に集中するための4つの方法を紹介する。


 個人の生産性に関して山ほどある統計データの中でも、私がとりわけ危機感を覚えたものがある。PCの前で仕事をしているとき、私たちは平均40秒に1回(!)のことに気を取られるか、何らかの理由で中断を余儀なくされる、というのだ。わずか1分間でさえ、私たちは目の前の仕事に集中できず、すぐに別のことに注意を向けてしまうのである。

 もちろん、すぐにやっていた仕事に戻れるときもある。しかし、注意が完全にそれてしまうと、集中し直すのに20分以上の時間を要する場合があることが研究から明らかになった。

 なぜか。人間の脳は、さまざまな刺激に注意を向けるようにできているからだ。私たちの脳の注意を司る部分は、楽しみを与えるものや安全を脅かすもの、目新しいものに応答するようにプログラミングされている。「新奇バイアス(novelty bias)」というものもあり、何か新しいものを見たり聞いたりすると、ドーパミンという楽しい感覚をもたらす物質が脳内で大量に放出される。

 人間の進化の歴史を考えると、これには合点がいく。たとえば、火を起こすことに全意識を集中する代わりに、新たな脅威、たとえば忍び寄る猛獣サーベルタイガーの足音に注意を払うことで、我々の先祖は明日へと命をつないだのだ。

 置かれる状況は人によって異なるだろうが、私自身は日常生活の中で、サーベルタイガー級の猛獣に出くわすことはめったにない。現代において、楽しいものや新しいもの、安全を脅かすものに気を取られることは、生存の助けにならないばかりか、むしろ生産的で意義深い物事から我々の注意を引き離すことになる。フェイスブックはエクセルのスプレッドシートより魅力的な対象であり続けるだろうし、メールのチェックはレポートの作成より、ドーパミンの放出につながる。

 それでは、気が散るのをコントロールするには、どうすればいいのか。私はその対処法を求めて無数の研究を読みあさり、数十人の専門家にインタビューし、自分も実験に実験を重ねた(瞑想のセッションに参加して、みずから飛び込んだ退屈さに1ヵ月耐えたこともある)。

 その結果、数え切れないほど多くの対処法があることを学んだ。その中から、私が特に気に入っている方法を以下に紹介したい。